猫のワクチンで健康チェック!甲状腺機能亢進症が見つかった症例

予防

元気な猫は、なかなか動物病院にくる機会がありません🐱

しかし、猫は体調不良を隠す動物です•••

定期的なワクチン接種は、病気の予防はもちろん。健康をチェックする、チャンスでもあります。

今日は、元気だと思った猫ちゃんに、病気が見つかった例をを紹介します。

症例 🐱

猫の空くん、10歳の男の子です。
毎年、混合ワクチン接種に来てくれます。

お変わりないですか?と尋ねると、
何も変わらないよ、元気に過ごしているよ、
とご家族のお父さん。

診察 🩺

さて、本日は混合ワクチンの予定ですが、
空くんにとっては、年に一度のお出かけです。
せっかくなので、しっかり身体検査をします。

まず、体重を確認すると・・・

一昨年が5.5kg→ 去年が5.3kg
今年、4.7kg。

あれっ、痩せましたね!というと、

お父さん。
よく食べてたけどな?と不思議顔です。

吐いたりしてませんでしたか?と尋ねると、

2、3日に1回くらいかな〜と。

あんまり、空くんが吐くことを問題に思っていなかった様子です。

🐱猫の嘔吐について

猫は確かに吐きやすい動物だと
思いますが、
猫の嘔吐は、決して正常な状態ではありません。

吐く原因は、
毛玉だったり、 
食事のアレルギーだったり、
様々ですが、

元気だったとしても、
吐くことで、次の嘔吐が起こりやすくなる悪循環になることもあるので
治療してあげたほうが良いと思います。

高齢の子では特に、体重が落ちている時は要注意です。
嘔吐の頻度が2週間に1回でも、
病気が隠れている可能性があります。

さらに診察を進めると、

空くん、瞳孔が普段より大きくなっている。

そして、 
心拍数が、とっても早い。
1分間に、240回を超えている。
(猫の心拍数は120〜220回くらい)
小さく、心音に雑音も混じっている。

警戒して興奮状態の猫ではあり得るけど、
空くんはそこまで興奮していない。

ここまでで、混合ワクチンの前に、
血液検査を提案し、行うことになりました。

診断 📝

血液検査の結果、
甲状腺ホルモン(T4)の値
とても高値でした。

体重減少、
嘔吐の頻度の増加
瞳孔の散大、
心拍数の増加、心臓の雑音・・・

空くんのこれらの症状は、
甲状腺機能亢進症に関連している
可能性が高いです。

🐱甲状腺機能亢進症は、
猫の喉のあたりにある甲状腺が
異常に大きくなり、
ホルモンが過剰に分泌されます。

人間でいうところのバセドウ病と
病態は似ていて、
甲状腺ホルモンによって、
体が煽られているような状態になり、

心拍が速くなって、
血圧が上がって、
吐きやすくなって・・・
興奮状態になり、攻撃的になり・・・

猫にとっては、体がしんどい状態になっていると思われます。

悪化すると、
心臓や腎臓の障害を進行させ、
高血圧から網膜の障害から失明して

しまうこともあります。


治療は、3通りあります。

1️⃣ 内服で行う場合
薬を1日2回飲むことで、
分泌された甲状腺ホルモンを打ち消すことです。
甲状腺を小さくする薬ではないので、
お薬を止めると症状が再発します。

2️⃣  療法食
(甲状腺ホルモンの材料となる、ヨウ素を含まないご飯)
この場合、他のご飯やおやつを
ちょっとでも食べるとヨウ素を摂取してしまい・・・
効果がなくなってしまうことがあるので注意が必要です。

3️⃣ 外科手術
異常な甲状腺を手術で切除することで、
完治を目指します。
その後の内服や食事療法が必要なくなる可能性があります。

治療 💉

今回の混合ワクチンは、延期し、治療を優先することにしました。

まずは1週間。お薬を飲んでみて、体調の変化がないかどうか、副作用がないかどうかも確認します。

心臓や腎臓の状態も、悪化がないか注意していきます。

嘔吐が減り、体重が増えていけば、良好です!

毎日の投薬が難しかったり、
副作用が出るようなら、
その他の治療法の
食事療法や、外科手術も検討していきます。

まとめ 🌻

空🐱は病気だったのか〜、とお父さん。
しんどいの、気が付かなかったな・・・

猫は、具合が悪いのが気づきにくい動物です。

けど、ちゃんと毎年ワクチンを打ちに
病院に連れて来てくれたからこそ、病気がわかりました。

よかったね、空ちゃん!

お薬がんばって、体重増えるといいね!

コメントやご相談もお待ちしています。

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