ほとんどの女の子の犬にとって、避妊手術手術は「初めての関門」です。
病気のリスクを減らしたり、行動を落ち着かせたり、望まない繁殖を防いだりと、さまざまなメリットがあります。
手術自体は決して難しくありませんが、何よりも安全に行うことが大切です。
ご家族の不安や心配も、大きいと思います。
今回は、柴犬のエリーちゃんの例をもとに、
手術前の検診でのチェックポイント、手術当日のタイムライン、術後の注意点、抜糸までの流れをわかりやすくまとめました。
手術前検診:柴犬のエリーちゃん
女の子の柴犬、9ヶ月のエリーちゃん。
避妊手術前の検診に来てくれました。
実は、エリーちゃんは2ヶ月前に避妊手術を予定していたのですが、
初回の発情出血(ヒート、生理)が始まってしまい、いったん延期になっています。


避妊手術前の検診🩺、していきますね!

よろしくお願いします!
身体検査
手術前の検診では、体の成長具合に問題がないか、生まれつきの心臓病など麻酔に影響する病気が隠れていないかを確認します。
- 心音(雑音がないか)
- 呼吸音
- 体温
- 臍・鼠径ヘルニアの確認
- 乳歯の遺残の確認
- 発情の状況(女の子)

特に、臍・鼠径ヘルニアや乳歯遺残がある場合、同じ麻酔で一緒に治療することができるので確認します。
⬇️避妊・去勢手術と同時に行われる治療についての記事はこちら✒️
血液検査
「問題なく麻酔をかけられる身体状態か?」を確認するために、
血液検査は安全な手術に欠かせないチェック項目です。

🐶 発情出血(ヒート、生理)とは?

出血は「発情前期」に起こる、正常な生理現象
雌犬は年に1〜2回、発情周期があり、最初の段階で少量の出血が見られます。
期間はおよそ7〜10日程度(個体差が大きい)
多い子は2週間ほど続くこともあります。

生後何ヶ月から始まるの?

初回の発情は生後6〜10か月ごろが一般的。
小型犬は早め、大型犬は遅めになる傾向があります。
避妊手術前に発情出血が始まってしまったら?
基本は、発情が完全に終わってから手術を行います。
発情中は子宮や卵巣に血流が増えており、出血リスクが上がるためです。

発情出血が終わってから、2〜3ヶ月あけて、計画を立て直しましょう!
エリーちゃんの手術計画 📝
🔵乳歯なし。
🔵臍ヘルニア、鼠径ヘルニアなし。
🔵血液検査など、そのほかの項目に異常なし。

今回は、予定通り避妊手術を行いましょう!
基本的に入院は一泊。次の日のお返しになります。


エリー、頑張ってな!
手術当日の注意点 ⚠️
🟠 朝から絶食


麻酔前は誤嚥を防ぐため、絶食が必須(前日夜12:00〜当日朝まで)です。
水は飲んでOKです。
(注:それぞれの動物病院の指示に従ってね!)
🟠 体調がいつもと違うときは必ず相談
- 朝から下痢・嘔吐
- 元気がない
→ 無理に手術をしない方が良い場合もあります。
避妊手術、当日。

エリー!頑張ってな!明日、必ず迎えに来るからな!

(🐶今日、朝ごはんなかったんだけど??〜お腹が空いたな〜💦)
- 11:00☀️来院・受付
体調・絶食OKか確認し、お預かりします。

- 11:30手術前の準備
体重を確認。
点滴留置の設置
静脈点滴をして、手術の時間を待ちます。

- 13:00麻酔の導入、手術開始!

エリーちゃんは、
避妊手術なので、お腹を開ける手術です。
麻酔をかけている時間は、処置の内容にもよりますが、
だいたい30〜60分程度になります。 - 14:00手術終了、覚醒
今日は入院です。静脈点滴をしてケージでお休みします。

- 翌日8:30朝の診察☀️
手術後の状態を確認します。

- 9:00〜お迎え・手術後の説明

🐶 手術翌日、退院。
お父さんがエリーちゃんのお迎えに来ました。


エリーちゃん、本当によく頑張りましたね!これから、手術後の注意事項についてお話します。
① 安静について
- 今日はゆっくり休ませ、明日からは激しい運動は控えてた方が良いですが、軽い散歩や日常生活は行って問題ありません。
- 傷口を舐めたり噛んだりしないように、エリザベスカラーもしくは術後服を着用してください。

🐶 術後服は抜糸まで、着たままでOK。トイレも可能でお勧めです!⬇️
② 食事・水
- 今日はご飯はできればお休み、欲しがるようなら少量の食事から。
- 明日から、通常の食事に戻って問題ありません。
- 手術後は代謝が変わり、体重が増えやすくなります。
ごはんの量をきちんと計量して与えるようにすれば、太り過ぎを防ぐことができます。
🐶 去勢・避妊手術後のご飯を利用するのもお勧めです。 ⬇️
手術後の体重管理や健康維持をサポートするために作られたフードです。
③ 傷の観察
- 赤み・腫れ・出血・膿が出ていないかチェック
- 触って痛がる場合も注意
④ 薬の管理
- 抗生物質・痛み止めなど指示通りに与える
- 投薬を途中でやめない

⑤ 注意すべき症状
- 元気がない・食欲がない
- 嘔吐・下痢が続く
- 傷が赤く腫れる、膿が出る
→ 早めに動物病院へ相談

エリー〜!!おかえり!!よく頑張ったな!!

(🐶 おとうさん〜〜〜!!!はやく帰ろっ!!)

エリーちゃん、今朝は朝ごはん、残していますね・・・
帰ってから食べさせてあげてください。
1週間〜10日くらいで、抜糸をして終了です。
また動物病院で待ってますね!
10日後、抜糸して終了!



お腹の傷は問題なく、抜糸できました。
これで術後服も着なくて、大丈夫です!

避妊手術、無事に終わって一安心です。
エリー、これからも元気でいてくれなきゃな!!
🐶 まとめ
避妊手術は特別に難しい手術ではありませんが、ほとんどの雌犬にとっては最初の大きな試練です。
手術前の検診では、麻酔を含めて安全に手術が行えるか、さらに乳歯や腹壁ヘルニアなど、同時に処置が必要な問題がないかを確認します。
私たち獣医師も、元気な子を元気なままお返しできるよう、常に細心の注意を払って手術に臨んでいます。
エリーちゃんの避妊手術の一例、参考にしていただければ幸いです。



※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。
参考文献
日本獣医師会(2023)「家庭飼育動物の不妊・去勢に関するガイドライン」
BSAVA(British Small Animal Veterinary Association)「Small Animal Surgery, Spaying and Neutering」
獣医麻酔外科学会(2022)「獣医麻酔モニタリングガイドライン」

コメントやご相談もおまちしています。









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