今日は、8ヶ月の雑種猫の女の子、こむぎちゃんの避妊手術を行います。
猫の避妊手術は、5〜6ヶ月で実施することをお勧めしています。
猫の発情は、だいたい6〜12か月で始まりますが、この時期を迎えると、
猫ちゃんは擦り寄ったり、体をくねらせたり、夜通し泣き続けたりして、ご家族の安眠を
妨害し、しかもこれが落ち着いたと思ったら1週間経たず再開し、ご家族の平安な日常を
おびやかすことになります。
また、子宮蓄膿症など子宮疾患を予防し、
1歳以下での避妊手術は、悪性度の高い乳腺腫瘍の発生率を低くしてくれます。
雌猫との幸せな生活を守る上で、避妊手術はとても大切です。
こむぎちゃんはここのところ、発情を繰り返していました。
数日前、寝不足で困ったご家族が来院され、近日で避妊手術を実施することが決まっていました。

今日は、お話しした通り、朝ごはんは我慢してきてくれました。
胃の中に、ご飯が入っていると麻酔をかけた時に、万一吐いてしまうと詰まって危ないので、
手術の日は絶食をお願いしています。
猫の避妊手術は、1泊入院。とりあえず、今日はゆっくり寝て下さいね〜(汗)
さっそく、体重測定と採血、血液検査を行います。
13時。午前の午前の外来が終了しました。
避妊手術の準備を開始します!
避妊手術は、動物看護師さんと獣医の2人で行います。
動物看護師さんが、手術室にこむぎちゃんを連れてきてくれました。
太ももの内側の血管へ、麻酔薬を静脈注射すると・・・
力が抜けてクッタリしたこむぎちゃんに、すばやく気管チューブを入れて、
心電図、血中酸素濃度、血圧の測定器をつけて。
眼が乾燥しないように、眼に軟膏を塗って。
抗菌薬、痛み止めの注射をして。
手術する場所の周辺を毛刈りして、
動物看護師さんが消毒してくれている間に、私は手の消毒をします。

避妊手術では、おへそと鼠径部の中間くらいの皮膚を、2〜4cmくらい切ります。
そこから、子宮・卵巣を取り出して、糸でしばって切って、しばって切って・・・
発情中だったので、子宮は結構はれていて、すこし傷は大きめになりました(汗)。
お腹の縫合は、きなこちゃんは5糸になりました。
ガス麻酔を切って、だんだん麻酔が切れていき、自分で確実に呼吸ができるまで
覚めたのを見計らって、気管チューブをそっと抜きます。
麻酔を入れて、目が覚めるまで45分くらいでした。
眠っている間に、皮下輸液をして、傷を舐めないよう、エリザベスカラーをして、
しっかり目が覚めるまで、低体温に気をつけて、ケージで休んでいてもらいます。
翌日、ご家族がお迎えに来てくれました。

手術と手術後の注意点をお話しします↓↓
- 術前の血液検査では何も問題ありませんでした。
- 手術の傷跡は、おなかに4cmくらい、5針糸がかかっていて、保護テープが貼ってあります。
- 術後の飲み薬は特にありません。
- 抜糸は、1〜2週間後です。また病院に来てくださいね!
- 傷をいたずらしないように、抜糸までエリザベスカラーでも良いですが、あっちこっち当たったり
ご飯のときに邪魔になったりするかもしれません。
エリザベスウェアといって、術後服(手術の傷を隠して、きたままトイレもできるお洋服)も便利です。 - ご飯について、手術後は、今までと違い良いだけ食べていると、太りやすくなることも確かですが、
ちゃんとご飯の量を測って気をつけていれば、防げることが多いと思います。
手術後の子用のご飯も利用されると便利です。 - 術後安静は基本的には必要ありません。あまり激しい運動は避けて、日常過ごして下さい。
こむぎちゃんには、術後服を着てもらいました。
わあ、かわいい!似合う!とご家族。
こむぎちゃん。本当によく頑張ったね!今日はゆっくり休んで、元気になってね!
猫の避妊手術はけっして難しい手術ではありませんが、人と猫が幸せに生活するために大切な、
女の子の猫にとっては最初の試練です。
元気な子を元気なままにお返しするために、スタッフも気を引き締めて取り組んでいます!
上記は、私の動物病院での一例ですが、参考にしていただけましたら幸いです。

コメントやご相談なども、お待ちしています!

コメント