猫の便秘は要注意!まめ太郎くんの症例でみる診察・治療・巨大結腸症のリスク

便秘

猫の便秘はよくあるトラブルのひとつですが、放っておくと重症化して治療が難しくなることもあります。
今回は、便秘の症状で来院した まめ太郎くん の診察内容を例に、原因・治療の流れ、そして進行すると起こりやすい 巨大結腸症 についてまとめました。

「最近便が出にくそう」「トイレで長時間踏ん張っている」など、心配なサインがあるときにどんな対応が必要なのか、猫の飼い主さんが知っておくと役立つ情報を紹介します。

症例 🐱

まめ太郎くん、雑種猫の4歳の男の子

ここ1週間、食欲があまりないとのこと。
そして、今日になって、何度も嘔吐していると、来院されました。

お姉さん
お姉さん

ここ最近、トイレにすごく時間がかかって、出てきたうんちは石のように硬かったです。
今日は、トイレで踏ん張って、苦しそうでした。その後吐いてしまいました!

診察

1. 身体検査(触診)

トイレで踏ん張って苦しそう💦という場合、
尿意なのか、便意なのか?を判断することが大切です。

猫のお腹は柔らかいので、触診でお腹を触ると、パンパンの膀胱や、うんちがたくさん溜まっているのがわかります。

しかし、まめ太郎くんは、肥満気味で、お腹が大きく触っても確認が難しい・・・

私(獣医)
私(獣医)

触診でお腹の状態を確認するのが難しいので💦
超音波検査をしましょう!

検査 🩺

超音波検査

膀胱の状態、結腸の状態を確認し、嘔吐の原因を探ります。

膀胱内に尿はなし。
胃の中にも何もないので、異物が閉塞した可能性は低い。
結腸内に、大きな塊たくさん確認されます。

私(獣医)
私(獣医)

便が溜まっている可能性があります。

レントゲン検査で、結腸の状態を確認してみましょう!

レントゲン検査

お腹の中に便がどのくらい溜まっているか?を見るには、レントゲン検査がとても有用です。

まめ太郎くんのお腹をレントゲン検査で確認すると・・・
大量の蓄便が確認されました。
特に肛門近くの便は大きく、骨盤あたりで詰まったようになっています。

私(獣医)
私(獣医)

便秘で腸の中の便が大きく固くなって、力んでも自分では出せなくなっている可能性が高いです!

猫の便秘について💩

犬では稀ですが、猫では便秘が比較的多くみられます。

🔹猫の排便回数の目安

  • 1日1回前後
  • 個体差があり、1〜2日に1回なら正常範囲

🔹気をつけたい状況

次のような場合は、便秘の可能性が高いです。

  • 2〜3日以上排便がない
  • 少量の便しか出ない状態が続く
  • 力むが出ない
  • コロコロの硬い便
  • トイレで長くうずくまっている

🔹便秘の原因

主な原因には食事中の繊維質の不足が挙げられますが、そのほか様々な要因が組み合わさって、徐々に進行していくことが考えられます。

  • 食事中の繊維質の不足:最も一般的な理由です。
  • 水分不足:飲水量の不足、腎機能低下による脱水など
  • 骨盤の構造の問題:先天性な異常や骨盤骨折などで骨盤が狭い
  • 神経の問題:痛みや神経麻痺により、排便が促されない

🔹巨大結腸症とは?

便秘の状態が続くと、最終的に巨大結腸症になってしまいます。

結腸の中に硬い便塊が長期間たまると、結腸の壁が過度に引き伸ばされ、元に戻りにくくなります。この状態が続くと 巨大結腸症 を発症し、結腸の運動がさらに低下して、排便がいっそう困難になります。

私(獣医)
私(獣医)

巨大結腸症になってしまうと、便秘の管理が非常に難しくなります。
定期的に動物病院で摘便をしたり、重症では手術で伸びた結腸を切除することもあります!

治療 💉

私(獣医)
私(獣医)

まずは、まめ太郎ちゃんのお腹の中の大量の便を出して、今の辛い状態を改善していきますね!

宿便を掻き出す 💩

まめ太郎ちゃんの肛門付近にある大きい便が蓋のようになって、排便ができない状態になっています。

摘便は、麻酔下あるいは鎮静下💉で行うことが多いです。
今回もまめ太郎ちゃんには鎮静剤を使って、うとうとしていてもらいます。


浣腸を行ない、便を軟化させ、排出させました💩。

摘便や浣腸は、腸に負担をかけ、腸を傷つけてしまうおそれがあります。
また、骨盤や神経に障害がある子では、悪化させてしまう可能性もあります。
絶対に自宅で行わないようにしましょう。

補液 💧

まめ太郎ちゃん、便の摘出、頑張ってくれました!
皮下輸液を行い、脱水の改善をします。

内服薬 💊

今回、まめ太郎ちゃんには、
胃腸運動促進薬と、
便を柔らかくするシロップのお薬を、1週間続けて使ってもらうことにしました。

そのほか猫の便秘で使うお薬は、
食事に混ぜる繊維質や、腸を動かして排便を促す、滴下タイプの薬などが使われます。

便秘の重症度や便秘の原因に応じて選択していきます。

食事療法 🍽️

便秘の主な原因は、食事中の繊維質の不足と言われています。
食事療法は非常に重要です。

🐱便秘治療で主に使用する食事です⬇️

水分補給💧も非常に大切です。猫の飲水は便秘症の他に尿トラブル、腎機能低下などもあって非常に重要です。流れる水の方が、飲水が促される子もいるようです!⬇️

その後・・・

まめ太郎ちゃんは、普段食べているご飯を、可溶性繊維を含む療法食へ切り替えました。

お姉さん
お姉さん

まめ太郎は今、排便は1日1回、時間もかからず快調です!

私(獣医)
私(獣医)

本当によかったです!
食事を戻すと、また便秘になってしまう子も多いです。これからも、水分補給に気をつけて、療法食を続けてくださいね!

まとめ

猫の便秘は比較的よくみられるトラブルで、進行するほど治療が難しくなります。
重度になると結腸が広がって戻らなくなる 巨大結腸症 を引き起こし、動物病院での定期的な摘便や、場合によっては結腸を切除する手術が必要になることもあります。

便秘の原因は1つとは限らず、食事だけでなく、胃腸の運動低下、神経の異常、骨盤の変形など、複数の要因が重なって起こることもあります。

猫の正常な排便回数は 1日に1回〜2日に1回程度
それより間隔があいている、排便に時間がかかる、少量でとても硬いなどの変化がある場合は注意が必要です。

「排便に時間がかかっているかも…」「3日以上便が出ていない…」
そんなときは、ぜひ早めに動物病院にご相談くださいね。

猫のまめ太郎ちゃんの1例、参考にしていただけましたら幸いです。

🐱嘔吐がみられた猫の記事です⬇️

※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。

参考文献

Ettinger & Feldman: Textbook of Veterinary Internal Medicine – “Constipation and Megacolon in Cats”

WSAVA Global Nutrition Committee: Feline Constipation and Megacolon – Nutritional Management 

Purina Institute: Feline Constipation and Megacolon

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