明け方の嘔吐、だけど食欲はあって日中は吐かない!
空腹が続いた後、胃の動き出す明け方に起こることが多いですが、
犬ではよく相談される症状の一つです。
今回は、そんなよくある嘔吐かな?と思ったら、実はそうではなかった!というお話です。
今日の症例
ポメラニアンのユキちゃん、3歳です。

最近、ここ1週間くらい、明け方によく吐くとのこと。
吐くものは黄色っぽい胃液や、白い泡を少し。
その後、朝ごはんはしっかり食べて、吐き戻すことはないとのこと。
この様に、明け方、胃が動き出してきたタイミングで吐いてしまうのは、
特に病気でなくてもよく見られる症状です。
しかし、何日か連続して毎朝吐くのであれば、逆流性食道炎などが原因で、
吐くことが悪循環になっていることがあります。
なので、その後けろっとして元気で、食欲もあるならば、
いったんしっかり吐き気を止める治療を数日、
注射や飲み薬を使ってしてあげると、落ち着くことが多いです。
しかし・・・

実は、梅干しを食べてしまってからなんですよね。

梅干し??種ごとですか?どのくらいの大きさですか?

うっかり落としたやつを丸ごと。結構大きい粒でした!
ちょっと、話は違ってきます。
梅干しの種、桃の種など、硬くてある程度大きさのあるものは、
犬が飲み込んでもすぐには症状が出ないことが多いです。
胃の中に停滞して、腸の方に流れるのにある程度、時間がかかります。
直後に問題になることもありますが、
数週間、数ヶ月経過しても、胃に留まり続ける場合もあります。
何かの拍子に、十二指腸〜小腸に流れていくと、急に腸は細くなっていくので、
ここで詰まってしまうのです。

梅干しの種が胃の中にあるならば、
刺激になって、明け方吐きやすくなっている原因かもしれません。
さらに、梅干しの種が、胃から小腸に流れた時、
体重3kgのゆきちゃんの小腸を、梅干しの種は通過できず、
閉塞を起こしてしまう可能性が高いです!
そうなったら、開腹手術で、腸の中の梅干しの種を取り除かなければいけなくなります。

どうしたらいいでしょうか!?
診察
腹部超音波検査
胃の中は朝ごはんで満たされていて、確認できませんでした。
十二指腸〜小腸には、異物は確認されず。腸閉塞はなさそうです。
レントゲン検査
異物は確認されませんでした。
梅干の種は、レントゲン検査では透過してしまい、見えないと思われます・・・
翌日、絶食して再検査
朝ごはんを我慢して、翌日また来院してもらいました。
再び超音波検査を行うと、胃の中に1.5cmくらいの異物が確認されました。
内視鏡検査
その日のうちに、ユキちゃんの内視鏡検査が行われました。
梅干の種が確認され、無事に梅干の種が摘出されました。
そして、麻酔が覚めて、夕方に元気に帰ってゆきました。

ユキ、気をつけてあげなくてごめんね!

ユキちゃん、内視鏡検査お疲れ様!
ちゃんと動物病院に連れてきてもらって、
腸に詰まる前に梅干の種を摘出できて、本当によかったね!
まとめ
犬の誤食はとてもよくありますが、ある程度大きさのあるものだと、症状が出るのに時間がかかることがあります。
石、消しゴム、スーパーボール、桃の種、とうもろこしの芯など・・・
数週間、数ヶ月、症状が出ないで元気で過ごすこともあります。
しかし、いったん異物が胃から流れて小腸に閉塞を起こすと、犬の状態は急変します。
何度も繰り返し嘔吐して、明らかに苦しい状態になります。
そうなると緊急開腹手術で、腸を切って異物を摘出する必要があります。

飲み込む現場を見ていないと、いつ飲んだものなのか、わからない時もあります。
飲み込む現場を見ていたのであれば、獣医師に確認し、受診した方が良いか指示を仰ぎましょう。

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