犬のワクチン接種は年1回、お勧めしています。
万が一、ワクチンアレルギーが出たら、どうなるの??心配になりますよね。

ワクチン後のアレルギーは、
1️⃣ 接種直後のアナフィラキシー
1️⃣ 接種後1、2日までの遅発性のアレルギー
に分けて、気をつけていきます。
今日は、実際にワクチンを打って、アレルギーが出てしまった、わんちゃんの例を2つ、お話しします。
🐶 症例1️⃣
ポメラニアンのきなこちゃん。3ヶ月の男の子です。

今日は、ペットショップ以来の、2回目のワクチンです。
1回目は、ペットショップで5種混合ワクチン。
2回目は、相談の上、8種混合ワクチンを打つことにしました。
約10分後・・・
きなこちゃんは待合室で、急に吐いて、ハアハア呼吸が荒くなってしまったとのこと。
すぐに状態を確認します。
🩺 診察
きなこちゃんはフラフラ、立つのが辛そうです。
歯茎の色は、白っぽくなっていました。
太ももの内側の血管で血圧を確認すると、ほとんど脈拍を感じることができません。
アナフィラキシーショックの可能性が高いです。
💉 治療
すぐに、緊急処置を行います。
静脈留置を確保し、血圧を上げる薬を投与します。
血圧を確保するために、輸液を開始します!
アレルギー反応を緩和するお薬も使いました。
次第に・・・
きなこちゃんの歯茎の色はピンク色に戻っていき、血圧も感じられるようになりました。
危機一髪でした!
📝 症例1の考察
ワクチンのアナフィラキシーショックは、処置が遅れると命に関わる事態になります。
ワクチン接種後は、特に初めての時、ワクチンの種類を変えた時は、
接種後20分くらいは診察室か、周辺にいて様子を確認することをお勧めしています。

🐶 症例2️⃣
ダックスフントのケントくん。4歳の男の子。

今日は年1回、4回目の追加接種です。
毎年、10種混合ワクチンを打っています。
今回も、10種混合ワクチンを打ちました。
『いつもワクチン後も元気だよ!』とご家族。
その後・・・接種後3時間くらいで、電話がかかって来ました。
ケントくん、ブルブル震えて、抱っこしようとするとキャン!!と鳴く、と。
🩺 診察
ケントくん、心拍や血圧、血色は問題なし。
打ったのは右腰だから・・・その辺りを触ってみると、ギャン!!
注射した皮膚の場所の、周辺が腫れていました。
その日は、ワクチンのアレルギーを抑えるステロイドの薬をお注射して、様子をみることになりました。

💉 結果
その後は、すぐに元気になったとのこと。
次の年からは、
別メーカーの8種混合ワクチンにすると、痛みなどのアレルギー反応は出なくなりました。
📝 症例2の考察
毎年のワクチンで大丈夫でも、ある年、急にワクチンアレルギーが現れることがあります。
ワクチン接種後は、1、2日くらいは副反応に気をつけて、無理せず過ごしてね、とお話ししています。
🌼 まとめ 🌼
混合ワクチンは、犬の感染症予防のために大変重要です。
しかし、望ましい効果の他に、まれに望まれない反応(副反応)が出てしまうこともあります。
ワクチン接種後は、以下に気をつけましょう!
- 接種直後のアナフィラキシー
接種後20分くらいは病院周辺にいるか、すぐ駆けつけられるようにする - 遅発性のアレルギー
1、2日は体調の変化に注意して、無理せず過ごす。
わんちゃんの体調の変化に気づけるよう、余裕のある日にワクチンができると良いですね!
❓ アレルギーが出てしまったら?
アレルギーを抑える処置をした方が良い場合があります。動物病院に連絡し、症状を話して、指示を仰ぎましょう。
❓ 次の年からどうしたら良いか?
以下の方法があります。
- 混合ワクチンの種類を変えてみる。
▶️ 種数を落としたり、別メーカーにしてみるなどでアレルギーが発現しない可能性があります。 - 最初に前処置として、アレルギーを抑える注射をしてから混合ワクチンの接種をする。
▶️ この場合、ワクチンの免疫を上げる効果は少し減少する可能性もあります。
- ワクチンを打たない。
▶️ 病気になってしまうリスクを伴いますが、アレルギーが重篤であった場合は、この判断をします。 - ワクチンの抗体価の確認をする。
▶️ ワクチンによる抗体(病気に抵抗する力)を、すでに持っているか、血液検査で調べることができます。
十分に抗体価が高い場合は、接種する必要がないため、抗体価を見てワクチン接種するかどうか決めることもできます。
混合ワクチンには、様々な種類があります。
推奨されるワクチンは、年齢やライフスタイル、地域によって変わってきます。
担当の獣医さんとよく相談し、アレルギーの発現にもよく警戒して、
ワンちゃんに元気でいてもらうため、行っていきましょう!

コメントやご相談もお待ちしています。


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