シーズーのはなちゃんは、15歳の女の子。
普段はソファで、
ゆっくり過ごしていますが・・・

お母さんがおでかけするタイミングで
目を覚まし、置いてかれる??
とびっくりして、とっさに!
ソファからダイビングして、
落ちてしまったとのこと・・・

ソファは膝くらいの高さでしたが、
落ちてから、はなちゃん、
右後ろ足が地面につけなくて、
痛そうにしているそう。
診察室に、心配そうなお母さんと
一緒に入ってきました。
骨折でしょうか・・・?
と心配そうなお母さんです。
〜 診察 〜

診察台の上で、はなちゃんは左後ろ足を浮かせています。
傷や、腫れているところはない様子。
膝蓋骨脱臼は、グレードの2。
脱臼を起こしやすいけど、
基本的には脱臼していない状態です。
膝の関節を触ってみると・・・
太ももの骨と、脛の骨が不安定に動きます。
診察室を歩いてみると、左後ろ足が地面につく直前に、足を浮かせてしまいます。
左後ろ足に体重をかけることができない様子です。
レントゲン検査では、骨に異常はなし。
ですが、大腿骨と脛骨のくっついている場所が、
ほんの少しずれています。
前十字靭帯が、損傷している可能性があります。
〜 診断 〜
前十字靭帯断裂の疑い
前十字靭帯は、犬の膝の中にある
靭帯で、太ももの骨(大腿骨)と、
脛の骨(脛骨)を前後の方向に
ぐらつかないよう、安定させてくれる靭帯です。
犬の基本の姿勢は、常に膝を曲げている状態です。
この靭帯が切れてしまうと、
歩いて体重がかかると、
膝がグラグラして、痛みやびっこを
引いてしまう原因になります。
体重が重い大型犬に多いですが、
小型犬でも見られます。
膝蓋骨脱臼に関連して、起こることもあります。
膝を安定化させる、外科手術すると、
治るまでの期間が短くなります。
しかし、体重が軽い子や、
病気などで手術ができない場合では、
安静にすることで、次第に関節が安定化するのを待つことも選択されます。

はなちゃんは、もともと膝蓋骨脱臼があり、
さらにソファから落ちて体重がかかり、
前十字靭帯を損傷してしまったようです。
〜 治療 〜
はなちゃんのお母さんは、
はなちゃんの15歳という年齢と、
普段はソファでゆっくり過ごしていることを
考慮して、手術はしない選択をしました。
安静にして、自然に関節の安定化していくのを
待つことに決めました。
完全に良くなっていくまで、3〜6ヶ月位、
かかるかもしれません。
そして、はなちゃんは、実は、ぽっちゃり体型。
体重は6kgだけど、足はとっても細くて、
理想体重は5kgくらいかな・・・
膝に負担をかけないには、
体重管理はとっても大切です。
- 体重管理
運動はできないので、食事の見直しです! - 運動制限
お散歩はしばらく我慢です。
お部屋の滑り止めシートの使用なども
お勧めです。 - 鎮痛剤や、サプリメントの使用
治すというより、楽にしてあげる目的です。
胃腸に負担をかけないように、
長期使用するならサプリメントが良いかもしれません。
以上を提案して、関節が安定化していくのを
定期検診で確認していくことにしました。
〜 注意点 〜
前十字靭帯断裂で、
外科手術をしないという選択は、
注意が必要です。
手術をしない選択肢は、
体重が軽い子
(大体、〜13kgくらいまで)
活発すぎない子
(安静無理な子は、いつまでも関節が安定化しません)
などです。
回復までに時間がかかりすぎると、
痛い足をいつまでも使わないことで、足の筋肉が落ちて細くなっていき、
回復が難しくなります。
〜 まとめ 〜
今回は、前十字靭帯を損傷してしまった、15歳のはなちゃんの例でした。
犬が足を痛がっている時、すぐ治るものなのか、靭帯なのか、脱臼なのか、骨折なのか・・・
とても心配になりますよね。
診断することができれば、
回復に時間がかかっても、経過をみながら
計画的に治療することができるようになります。
はなちゃんとご家族のお母さん。よくなっていくように頑張りましょうね!

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