【診察室より】犬が血尿!?どうやって尿をとる?結石があったケース

泌尿器

「最近、何度もトイレに行く」「おしっこに血が混じっている」
そんな症状があると、膀胱炎を心配される飼い主さんも多いと思います。

膀胱炎の原因はさまざまですが、犬では細菌感染と結石が関係しているケースも少なくありません。
今回は、尿検査をきっかけにストルバイト結石が見つかったはなちゃんの一例をご紹介します。


症例:ウェルシュコーギーのはなちゃん

ウェルシュコーギーの女の子、はなちゃん。

お姉さん
お姉さん

昨日から、はなのおしっこの回数が多く、少し赤かったです。
元気も食欲も問題ないですが・・・

おしっこは、取り方が分からず持ってきてません。大丈夫でしょうか?

私(獣医)
私(獣医)

尿がなくても、まずは問題ありませんよ
それでは、診察を進めていきましょう


診察 🐾

はなちゃんは、

  • 心音・呼吸音問題なし
  • 発熱なし
  • お腹の触診で膀胱の緊張はなし
私(獣医)
私(獣医)

ではまず、超音波検査をして膀胱の状態を確認していきましょう!


超音波検査 🐾

膀胱炎が疑われる場合、腹部超音波検査はとても有用な検査です。
痛みが少なく、体への負担も少ない方法で、膀胱の状態を確認できます。

超音波検査で分かること

  • 膀胱壁の肥厚
    炎症があると、膀胱の壁が厚く見えることがあります。
  • 膀胱内の沈渣や濁り
    炎症や感染により、尿の中に浮遊物が見られることがあります。
  • 膀胱結石やポリープの有無
    膀胱炎の原因となる異常がないか確認できます。
  • 腫瘍が疑われる所見
    まれですが、膀胱のしこりが見つかることもあります。

私(獣医)
私(獣医)

腹部超音波検査では、はなちゃんの膀胱内に

7mmくらいの膀胱結石が、5、6個見つかりました。

お姉さん
お姉さん

膀胱結石があったんですね!

私(獣医)
私(獣医)

結石の正体を知るためにも、やはり尿検査はとても大切です
まずは、尿検査を行いましょう

お姉さん
お姉さん

どうやって、おしっこを取るんですか?


犬のおしっこの取り方(自宅でできる方法)🏠

おしっこをご自宅で採取してお持ちいただけると
動物病院でスムーズに尿検査を行うことができます

① ペットシーツを使う場合

普段ペットシーツで排尿している場合は、
ペットシーツを裏返し、ビニール面を上にして敷きます。
尿が染み込まずに溜まるので、清潔な容器やスポイトで回収します。

私(獣医)
私(獣医)

ペットシーツに染み込んでしまうと、尿検査ができません❌


② お散歩中に取る場合

お散歩中の排尿時に、
紙コップや大きめの容器をそっと差し入れて尿を採取します。

私(獣医)
私(獣医)

驚かせないよう、後ろ側から静かに行うのがコツです。
おたま(柄が長く取りやすい)や、浅めのトレーも便利です。


ワンポイント 🐾

  • できるだけ新鮮な尿を採取する
  • 採取後は冷蔵保存し、当日中に動物病院へ持参しましょう
  • 汚れた容器や洗剤の残りがある器は使わないように注意してください
私(獣医)
私(獣医)

尿を入れる容器については、あらかじめ動物病院でシリンジ(針のついていない注射器)をもらっておくのも一つの方法です。

  • 尿の量は5〜10cc程度あると理想的
私(獣医)
私(獣医)

量が少なくても一部の検査は行えることがあります
そのため、少量でもぜひ一度ご持参いただくことをおすすめします


おしっこが自宅で取れなかった場合は?🏥

ご自宅で尿が採取できなかった場合でも、
動物病院で尿検査を行うことは可能です。

  • カテーテル採尿
    尿道に細いカテーテルを入れて尿を採取します。
    主に男の子の犬で行われる方法です。
  • 膀胱穿刺(超音波ガイド下)
    超音波で膀胱を確認しながら、
    お腹から細い針を刺して尿を採取します。
    清潔な尿が取れるため、検査に適しています。
私(獣医)
私(獣医)

無理に自宅で採ろうとせず、取れなかった場合は遠慮なく相談してくださいね。


はなちゃんのお母さんに大きめの器をお渡しし
動物病院を出て、はなちゃんと少しお散歩に行ってもらいました

しばらくして・・・

お姉さん
お姉さん

はな、お散歩ではすぐにおしっこするので、おしっこ取れました!

私(獣医)
私(獣医)

よかったです!
では、さっそく尿検査をしましょうね。


尿検査 🐾

膀胱炎が疑われる場合、尿検査はとても重要な検査です。
尿の状態を調べることで、炎症や感染の有無、原因を確認できます。

尿検査で分かること

  • 血尿🩸や白血球の有無
    膀胱の炎症があると、尿に血液や白血球が混じることがあります。
  • 細菌🦠の存在
    細菌感染が疑われるかどうかを確認します。
  • 結晶や結石🪨の種類
    膀胱炎の原因となる結石の手がかりになります。
  • 尿の濃さ(尿比重)やpH
    尿の性状を調べ、結石や再発リスクの評価に役立ちます。

診断 🐾

【 細菌性膀胱炎と、
  膀胱結石(ストルバイトの疑い) 】

私(獣医)
私(獣医)

はなちゃんの尿検査では、球菌🦠と炎症細胞、ストルバイト結晶❄︎が確認されました。
これらが影響して膀胱結石🪨が形成され
その結果、血尿や頻尿といった膀胱炎の症状を悪化させていたと考えられます。

お姉さん
お姉さん

細菌性の膀胱炎と、膀胱結石と、同時に起きていたということですか?

私(獣医)
私(獣医)

実際には、この2つは別々に起きているというよりも、互いに関連しています
犬では、細菌感染によって尿の性状が変化し、
その結果、ストルバイト結晶や結石ができやすくなることがあるためです。


犬の細菌感染とストルバイト結晶|治療について 🐾

犬のストルバイト結晶や結石は、
細菌感染🦠が原因となって形成されることが多いのが特徴です。

細菌が尿中で尿素を分解すると尿がアルカリ性に傾き、ストルバイト結晶ができやすくなります。


治療のポイント

  • 抗菌薬による治療
    細菌感染が確認された場合は、
    抗菌薬を使用して感染をしっかり治療します。
  • 食事療法
    尿の性状を整え、ストルバイト結晶を溶かす目的
    専用の療法食を用いることがあります。

⬇️ 尿路結石の療法食の例です。🐶

  • 尿検査による経過観察
    結晶や細菌が減っているか、
    定期的な尿検査で確認します。
  • 必要に応じた画像検査
    超音波検査などで、
    結石の大きさや数の変化を評価します。

ポイント 🐾

感染が残ったまま、あるいは膀胱結石が残存している状態では、
ストルバイト結晶や膀胱炎は再発しやすくなります。

そのため、細菌感染の治療と結晶(結石)への対策を同時に行うことが大切です。

私(獣医)
私(獣医)

尿検査の結果が改善していても、
膀胱の中に結石が残っていると、膀胱炎は再び起こりやすくなります。
そのため、結石がなくなったことを確認するまで、治療を続けることが大切です。

⬇️ 犬のシュウ酸カルシウム結石についてはこちら 🐶


はなちゃんの治療 🐾

  • 抗菌薬の飲み薬💊
  • 尿路結石用の療法食
私(獣医)
私(獣医)

まずは1週間、抗菌薬を内服して、飲み終わる頃に再び尿検査をして、細菌感染がしっかりコントロールできているかを確認します。

お姉さん
お姉さん

わかりました。今度は自分でおしっこを持ってくることができそうです!

私(獣医)
私(獣医)

はなちゃんの膀胱結石は、サイズがやや大きく数も多いため、
溶解するまでに少し時間がかかる可能性があります。
そのため、療法食を併用しながら治療を進めていきましょう。


再診 🐾

1週間後。尿検査で、細菌はいなくなったようですが、
超音波検査ではまだ膀胱内に石は残っています。

その後、抗菌薬を飲み続けること、1ヶ月・・・

お姉さん
お姉さん

おしっこの中に、1つ、また1つと
石がポロポロ出てきました!!

私(獣医)
私(獣医)

石が溶けて小さくなり、
尿道からおしっこと一緒に排出されたのですね。

はなちゃんは女の子♀だったため、
尿道に詰まることなく外に出てきてくれましたが、
男の子♂の場合は尿道が長くて細いため、途中で詰まってしまうこともあります💦

はなちゃんは、超音波検査で膀胱内の結石が消失していることと、
尿中の細菌がいなくなっていることを確認できたため、
抗菌薬による治療を終了しました。

私(獣医)
私(獣医)

再発がないか確認するため、1ヶ月後に再度、尿検査をしましょう。

お姉さん
お姉さん

わかりました!もう、おしっこ取ってくることはバッチリです✌️


まとめ 🌼

尿を自宅で採取して持参できると、
動物病院での尿検査をスムーズに行うことができます
また、再検査の場合は、犬を連れてこなくても尿だけの持参で検査が可能なこともあります。

膀胱炎にはさまざまな原因がありますが、
細菌感染が関与するストルバイト結石の場合は、感染の治療と結石の溶解の両方を同時に進めることが重要です。

膀胱炎の症状をきっかけにストルバイト結石が見つかった
はなちゃんの一例が、少しでも参考になれば幸いです。

※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。

参考文献

日本獣医泌尿器学会 編
『犬と猫の下部尿路疾患 診療ガイド』(日本獣医泌尿器学会)

Osborne CA, Lulich JP, et al.
Canine and Feline Urolithiasis: Causes, Detection, and Management
Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice

Bartges J, Callens A.
Urolithiasis
Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice

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