本日は、ポメ×チワワの11才、ぺこちゃんのスケーリングの処置の予定が入っています。
ぺこちゃんのご家族は、毎日、歯磨きをしてくれていました。
歯磨きをしていても、最近は血が出て嫌がるし、
前歯がグラグラしている。この部分を直すことは可能でしょうか・・・とご家族。

毎日しっかり歯磨き、大変だったと思います!!
努力の結果は、口の中を見るとちゃんとわかります。歯石の付着は比較的少ない印象です。
しかし、歯肉の後退は所々で認められ、特に奥歯では、歯石の付着が多くなっています。
犬種によって、特に小型犬種では歯肉炎の進行を完全に防ぐのは、本当に難しいです。
歯磨きをしていても、その子によってはある程度、スケーリングや抜歯が必要になるのは、
仕方がないです・・・。
でも、歯磨きをし、ある程度のところでしっかり麻酔下で歯科処置をすることで、
歯周病の進行がゆっくりになり、失う歯の数が少なくなります。
歯肉炎が重症化すると、顔が腫れたり、歯の根本から出血したり、ひどいと顎の骨が骨折したり。
困った時には高齢になって、麻酔処置が難しくなっていることもあります。
体調が悪くなると、口の中の細菌も増え急に口臭も強くなったりします。
毎日歯磨きしてたんだけどなあ・・・とご家族悲しそうなので、↑のことを伝え、励まします。
ぺこちゃんの診察すると、前歯の歯肉の後退が顕著で、軽く指で押すと動揺します。
残念ながら、すでにぐらついている歯を元に戻すことはできません。
これなら、歯を抜いてしまった方がいいかも、と提案すると、ご家族、悲しそうです。
歯を残すことは、できないんでしょうか・・・と。
犬は歯がなくなるとどうなるのでしょうか?
基本的には、犬はご飯を咀嚼せず、丸呑みすることが多いので、歯がなくなっても
生活に支障が出ることはありません。
下の犬歯だと、舌の収まりが悪く口からはみ出てしまったり、
抜歯した数が多いと唇が内側に入って涎が多くなることはあります。
むしろ、歯がぐらついていると、食べる時に気になったり、痛みの原因にはなるようです。
歯がないほうが、ぺこちゃんとしては違和感なくなり良いと思われます。
以上のことをお話しし、ぺこちゃんは、
スケーリングとぐらついている歯の抜歯をすることになりました。
動物病院では、スケーリングは全身麻酔下で実施します。
無麻酔で歯石をとってくれる施設もありますが、
歯石の中には雑菌がたくさんいます。
無麻酔で歯石取りを実施すると、こういった雑菌がたくさん出てきて、
それを飲み込み、消化管や、最悪、誤嚥して呼吸器に入ってしまうのを防ぐのが難しくなります。
歯周病の進行を防ぐには、歯肉ポケットの歯垢もしっかり除去する必要があります。
わんちゃんたちは、口をあけてじっとしてはくれないので・・・
無麻酔では、どうしても不十分な処置になってしまいます。
スケーリングや抜歯が必要になる子たちは、ある程度シニアのことが多いです。
麻酔時間も口の中の状況では、1時間を超え、すこし長くなることもあります。
うちの病院では、6才以上は、スクリーニング検査(人間ドックのような。ドッグドックですね!)
を事前に受けてもらっています。
- 血液検査
- 超音波検査
- レントゲン検査
- 心電図の検査
ばっちり調べて、ぺこちゃんは問題ないことを確認済みです!
何か他に、病気がないか調べる良い機会かもしれませんね。
さて、ぺこちゃんのスケーリングと抜歯を開始します。
動物看護師さんと2人、麻酔の導入です。
動物看護師さんは、麻酔の確認して器具出して、口も獣医がみやすいように押さえて。
ちょっと忙しいです。いつもありがとう!!
歯石を削って、歯肉ポケットの汚れも取って、磨いて・・・
一番奥の歯も、グラグラしていたので1本抜きました。
予定していた、上の前歯4本も抜歯して。

見違えるようにピカピカになりました!
口臭もなくなって、実にさっぱりしました!
歯科処置では、麻酔時間や抜歯が多かった時などは1泊入院にしますが、
ほとんどは日帰りで行います。
夕方、ご家族がお迎えにきてくれた頃には、ぺこちゃんはしっかり麻酔から覚め、
ケージからソワソワ待っていました。
ちょっと口から血混じりの涎がじわりと出ていますが・・・
明日にはしっかり止まっていると思います。
ご飯は、抜歯しても、特別やわらかくしなくても、カリカリでも食べられることが多いです。
もし食べにくそうにしていたら、しばらくふやかしたり工夫してあげて下さいね。
ぺこちゃん、お疲れまさでした!
明日からまた、歯磨きがんばってね!!

これは、うちの動物病院で行ったスケーリングの一例です。参考にしていただけましたら幸いです。
コメントや、ご相談もお待ちしています。


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