今日は、女の子の犬、9ヶ月の柴犬エリーちゃんの避妊手術の予定が入っています。
エリーちゃんは2ヶ月前に予定していた避妊手術の前に、
初回の発情出血(生理のようなもの)が始まってしまったので、
避妊手術はいったん延期し、本日になっています。

避妊手術はだいたい、5〜6ヶ月くらいで行うことをお勧めしています。
個体差ありますが7ヶ月くらいになると、初回の発情出血が始まります。
発情出血の前後は、子宮がとても血流が増え、腫れて、
手術をすると、皮膚の傷が大きくなったり出血が多くなってしまいます。
なのでこの期間は無理に避妊手術を行わず、発情出血が落ち着いて2、3ヶ月してから
予定を組み直しましょう、とお話ししています。
朝、動物病院にやってきてくれました。朝ごはんは食べてないことを、ご家族に確認します。
胃の中に、ご飯が入っていると麻酔をかけた時に、万一吐いてしまうと詰まって危ないので、
手術の日は絶食をお願いしています。
エリーちゃんの腕に点滴留置を設置し、採血、血液検査を実施します。
エリザベスカラーをして、いったんケージで待機してもらいます。

13時過ぎ、外来診察終了。
手術の準備をします。
エリーちゃんの血液検査は異常なし。
注射(痛み止めと抗生剤)、麻酔薬を準備します。

去勢手術は、うちの病院では獣医師2人(執刀と助手)と、動物看護師さんの、計3人で行います。
いよいよ、避妊手術を始めます!!
動物看護師さんがエリーちゃんを連れてきてくれました。
最初に少しうとうとするお薬、前投薬を、留置から入れます。
すこしエリーちゃんの力が抜けてきたのを確認し、
次に麻酔薬をゆっくり、反応を見ながら入れていきます・・・
ここから動物看護師さんとの連携が大切!
気管チューブを、麻酔が効いてクッタリしたエリーちゃんの喉に挿管します!
顎に紐で固定、麻酔機につなげて、酸素・ガス麻酔を入れて、
手足を手術台にロープに固定!
心電図、血圧、血中酸素濃度を測定する器具の装着!
これらをテキパキ手際よくおこなって、
エリーちゃんの呼吸数、心拍数、血圧、血中酸素濃度など、安定していることを確認します。
手術で皮膚を切る、おなかの毛刈りをします。
動物看護師さんがエリーちゃんの皮膚を消毒してくれいる間、
私ともう一人の獣医さんは手の消毒、手術ガウンと滅菌手袋をします。

避妊手術では、お腹の中心よりやや下のあたりにメスを入れます。
犬の大きさによってかなり変わりますが、エリーちゃんでは4cmくらい。
そこから、子宮と卵巣を取り出して、糸で結紮したり、切断したり・・・
助手の獣医さんに、見やすいように押さえてもらったり、糸を切ってもらったり。
協力して、手術を進めていきます。

大体、避妊手術は麻酔導入から覚醒まで、1時間半位で終了します。
エリーちゃんの麻酔が十分抜けて、自分でしっかり呼吸できるようになったこと確認し、
気管チューブを抜きます。
もうしばらく、心拍や呼吸状態を確認して、低体温にも気をつけて、ケージに移動。
避妊手術では、1泊入院。このまま点滴を続けて、明日のご家族のお迎えを待ちます。
次の日。エリーちゃんの身体検査をします。
術後の傷の様子は問題なし。
朝ごはんは・・・緊張のためか、食べてくれませんでした。
午前中のうちに、ご家族が迎えにきてくれました。
エリーちゃんのお帰しを前に、避妊手術後の注意点をご家族にお話しします↓↓
- 術前の血液検査では何も問題なし。
- 手術の傷跡は、おなかに4cmくらい、5針糸がかかっていて、保護テープが貼ってあります。
- 抗生剤と、痛み止めのお薬を、明日から5日間飲ませてください。
- 抜糸は、1〜2週間後です。また病院に来てくださいね!
- 傷をいたずらしないように、抜糸までエリザベスカラーでも良いですが、あっちこっち当たったり
ご飯のときに邪魔になったりするかもしれません。
エリザベスウェアといって、術後服(手術の傷を隠して、きたままトイレもできるお洋服)も便利です。 - ご飯について、手術後は、今までと違い良いだけ食べていると、太りやすくなることも確かですが、
ちゃんとご飯の量を測って気をつけていれば、防げることが多いと思います。
手術後の子用のご飯も利用されると便利です。 - 術後安静は基本的には必要なし、散歩も行ってOKですが、
あまり激しい運動は避け無理しない範囲で、傷が汚れないようにきをつけて下さい。
エリーちゃんには術後服を着ていただきました。似合ってる、似合ってる!
しぶしぶ、イヤイヤ、といったご様子でしたが、
ご家族の前に行くと、一変!しっぽをブンブン、狂喜乱舞、リードをぐいぐい引っ張って、
病院を走り去っていきました。
おうちに帰ったら、安心してお腹へるかな?たくさん食べて、回復してくれるといいな!
また抜糸の時に、元気で会えるのを楽しみにしています。
避妊手術は、難しい手術ではありませんが、ほとんどの女の子が経験する、最初の試練です。
私たち獣医師も、元気な子を元気なままお返しできるよう、決して間違いのないよう、
気を引き締めて取り組んでいます。
上記は、私の勤務する動物病院で行う犬の避妊手術の一例です。参考にしていただけましたら幸いです。

コメントやご相談も、お待ちしています!

コメント