元気で食欲もあるのに…健診で見つかったクッシング症候群の一例

🐶犬の病気

「元気も食欲もあるから大丈夫」
そう思っていても、体の中で病気が静かに進んでいることがあります。

今回ご紹介するのは、食欲の増加や体型の変化をきっかけに検査を進め、クッシング症候群が疑われたワンちゃんの症例です。
日常のちょっとした変化と、健診の大切さについてお伝えします。

この記事でわかること 📝
  • 元気や食欲があっても、病気が隠れていることがある
  • クッシング症候群では、食欲が過剰になることで病気と気づかれにくいことがある
  • 血液検査や超音波検査が、診断のきっかけになることがある
  • 体型や被毛の変化など、小さな変化が重要なサインになることがある

症例:ダックスフントのゆきちゃん

ゆきちゃん、ダックスフントの女の子です。
10歳の誕生日を迎えたので、健診として血液検査を行いました。

私(獣医)
私(獣医)

血液検査の結果、
ALP(アルカリホスファターゼ)という項目が少し高めですね。
ALP:798 IU/L(正常値:20〜150 IU/L)でした。

お母さん
お母さん

まあ、ゆきは食欲だけはものすごくあるので、
あまり心配はしていないんですが……。

ただ、お腹がどんどん丸くなってきていて……。
水もすごく飲むんです。

ゆきちゃんはやや肥満体型で、
さらに左右対称に、被毛が少し薄くなっている部分がみられました。

私(獣医)
私(獣医)

ゆきちゃんは、体型や被毛の状態からも、ホルモンの異常が関係している可能性があります。
追加の検査をしてみましょう。

⬇️ 肝酵素値の考え方については、こちらも参考にしてください。🐶



超音波検査で気づいたこと 🐾

超音波検査では、
肝臓や胆嚢の変化副腎の大きさや左右差を確認します。

私(獣医)
私(獣医)

副腎は、ホルモンの分泌を調節する臓器です。
超音波検査では、左右両方の副腎が腫大していることが確認できました。

これらの所見から、
クッシング症候群の可能性が考えられます。

⬇️ 肝臓の超音波検査から、肝臓の腫瘍が見つかった症例についてはこちらも参考にしてください。🐶


クッシング症候群を疑った理由 🐾

  • 食欲が異常に強い
  • 水をたくさん飲み、尿量が増えている(多飲・多尿)
  • 毛が薄くなるなどの皮膚トラブルがみられた
  • 筋肉量の低下による腹部のたるみが認められた
  • 超音波検査で副腎の腫大が確認された
私(獣医)
私(獣医)

これまでの所見や検査結果を総合すると、
ゆきちゃんはクッシング症候群の可能性があると判断しました。

お母さん
お母さん

異常な食欲や、お腹が丸くなってきたことも、
病気が原因で起こっていた変化だったのですね。
「食欲があるから大丈夫」と思ってました。

私(獣医)
私(獣医)

クッシング症候群は、
体内のホルモンバランスが崩れることで起こる病気で、
元気や食欲が保たれたまま進行することもあります。

放置すると、膵炎や糖尿病、血栓症などの
合併症につながることがあるため、
早めに気づき、適切に対策していくことが大切です。


この症例から伝えたいこと 🐾

  • 元気や食欲があっても、病気が隠れていることがある
  • 食欲の増加や体型の変化は、病気のサインになることがある
  • 血液検査や超音波検査など、健診がきっかけで見つかる病気も多い
  • シニア期では、**「様子見」より「健診」**が大切
私(獣医)
私(獣医)

体重や体型の変化など、
日々少しずつ起こる変化に気づくことは、
毎日一緒に過ごしているご家族ほど、意外と難しいものです。

動物病院で健診を受けることは、
そうした小さな変化に気づくきっかけになります。


まとめ 🌼

元気があり、食欲もあるからといって、病気がないとは限りません。
クッシング症候群のように、食欲が増えることで「元気そう」に見えてしまう病気もあります。
今回の症例のように、血液検査や画像検査をきっかけに病気が見つかることも少なくありません。
日常の小さな変化を見逃さず、定期的な健康診断を受けることが、早期発見につながります。


※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。

参考文献


Ettinger SJ, Feldman EC. Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th ed. Elsevier

Behrend EN et al. Diagnosis of hyperadrenocorticism in dogs. Journal of Veterinary Internal Medicine

日本獣医内分泌研究会 編
『獣医内分泌学―小動物の内分泌疾患』 インターズー

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執筆者:獣医師 pawmyan(小動物臨床/犬・猫の診療経験15年)

犬・猫の小動物臨床に15年以上携わってきた獣医師です。
診察室でよくある質問や、飼い主さんが不安に感じやすいポイントを中心に、わかりやすく解説しています。

記事内容は一般的な獣医学的情報をもとにしています。診断や治療については、必ず動物病院でご相談ください。

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