変形性関節症とは?原因・症状・治療を獣医師が飼い主向けに解説

破行

「最近、歩くのがゆっくりになった」「立ち上がるのに時間がかかる」「年のせいかな?」
そんな変化の裏に、変形性関節症(OA)が隠れていることがあります。

変形性関節症は、犬や猫によく見られる関節の病気で、痛みをともなうにもかかわらず、気づかれにくいのが特徴です。
しかし、早めに気づいて適切なケアを行うことで、痛みを和らげ、その子らしい生活を守ることができます。

この記事では、変形性関節症の原因や症状、動物病院で行う検査、治療やご家庭でできるケアについて、飼い主さん向けに分かりやすく解説します。

この記事でわかること 📝
  • 変形性関節症(OA)の原因と症状
  • 動物病院での検査内容
  • 治療と自宅でできるケアのポイント

変形性関節症(OA)とは?

変形性関節症(OA)は、関節のクッションである軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが出る慢性の病気です。
加齢によって起こりやすいですが、肥満・体のつくり・過去のケガなどが原因で、若い犬や猫でも発症することがあります。

私(獣医)
私(獣医)

変形性関節症(OA)は「年のせい」と見過ごされがちな病気です。
一度起こると完全に元に戻すことは難しいものの、適切な治療やケアによって痛みを抑え、生活の質を保つことは可能です。


変形性関節症(OA)の主な原因 🐾

変形性関節症(OA)の原因はひとつではありません⚠️
原因が特定できないケースも多いです。

原発性:加齢に伴う軟骨の摩耗や慢性的なストレス
二次性:関節形成不全、前十字靭帯断裂や他の整形外科疾患から続発する場合

  • 加齢による関節の摩耗
  • 肥満(関節への負担増加)
  • 関節形成不全(股関節・肘関節など)
    大型犬に多い
  • 過去のケガ・骨折・靭帯損傷
    膝蓋骨脱臼、前十字靭帯損傷などからの波及
  • 犬種・猫種による体の構造的要因
    スコティッシュフォールドの軟骨異常、軟骨異栄養犬種に多い体の特徴など
私(獣医)
私(獣医)

これらの原因は、ひとつだけでなく複数が重なっていることが多いです。
また、若い頃のケガや関節の異常が、年を重ねて高齢になってから影響してくることも少なくありません。

⬇️ 変形性関節症(OA)が見つかった、犬の症例はこちらも参考にしてください。🐶


こんな症状があったら要注意 ⚠️

初期はとても分かりにくいのが特徴です。

  • 歩きたがらない/散歩を嫌がる
  • 立ち上がり・階段・ジャンプをためらう
  • 動き出しがぎこちない
  • 触ると嫌がる・怒る
  • 寝ている時間が増えた
私(獣医)
私(獣医)

お散歩が大好きな子🐶は、関節に痛みがあっても我慢して歩いてしまうことがあります。
特に猫🐱は、痛みを隠す習性があるため、症状が進行してから発見されることが多いとされています。ジャンプの回数が減る・お気に入りの高い場所に登らなくなるなど、微妙な行動の変化に気づくことが大切です。

⬇️ 高齢犬が歩きにくくなる原因については、こちらも参考にしてください。🐶


動物病院ではどんな検査をする🏥?

触診(関節の腫れ・可動域・痛み)、視診

歩き方や立ち上がり方、姿勢を確認します。関節の腫れ・痛み・動かしにくさを確認します。

私(獣医)
私(獣医)

触診や視診は、痛みのある場所を特定するために重要です。
その結果をもとに、次に行うレントゲン検査で、どの部位を撮影するかを判断します。

レントゲン検査

変形性関節症では、進行に伴って関節まわりの骨に特徴的な変化が見られるようになります。

よく見られる所見

  • 骨棘(こつきょく)形成
     関節のふちにトゲのような骨ができる
  • 関節裂隙の狭小化
     関節のすき間が狭くなる(軟骨がすり減っているサイン)
  • 骨の硬化(骨硬化像)
     関節周囲の骨が白く、硬く見える
  • 関節の変形
     関節の形がなめらかでなくなる
私(獣医)
私(獣医)

レントゲン検査では、初期の段階でははっきりした異常が写らないこともあります。
しかし、変形性関節症以外の原因、たとえば骨折や脱臼、腫瘍などがないかを確認するためにも、重要な検査です☝️

レントゲン検査だけで判断できないこともあるため、症状や触診の結果とあわせて総合的に判断していきます。


CT検査、MRI検査など(高度医療施設)

一方で、神経や椎間板そのもの、筋肉の状態 までは詳しく分からないため、
症状によっては他の検査(CT、MRIなど)を検討することもあります。

私(獣医)
私(獣医)

CTやMRI検査は神経の状態を詳しく確認できる検査ですが、全身麻酔が必要で、対応できる動物病院も限られています。高齢犬では体への負担も大きくなるため、症状や全身状態に応じて検討される検査です。


変形性関節症(OA)の治療について 🐾

原因に応じて、痛みを和らげる治療、関節や神経の負担を減らす治療を行います。
内服薬やサプリメント、生活環境の調整、リハビリテーションなどを組み合わせて治療を進めることもあります。

私(獣医)
私(獣医)

歩きにくさの原因は一つとは限らないため、検査結果や年齢、生活環境を踏まえ、無理のない治療を提案します。

お薬について💊

痛みや不調をできるだけ和らげ、日常生活の質を保つことが目的になります。
副作用に十分配慮しながら、その子の状態に合わせて、長く続けられる治療を検討していきます。


① NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)💊

  • 炎症と痛みを抑える
  • ⚠️ 胃腸障害・腎臓への影響が出ることがあるため、注意が必要
  • 基本的に1日1回飲む薬や、2週〜月1回など長期で効く薬もあります。
私(獣医)
私(獣医)

NSAIDsは、人でいうロキソニンなどと同じ種類のお薬ですが、
⚠️人用の痛み止めを犬に使うと、重篤な副作用が出ることがあります。
必ず獣医師が処方した犬用の薬を使用してください。


② 鎮痛補助薬(神経・慢性痛向け)

NSAIDsだけで不十分な場合に併用します。

  • 神経痛や慢性的な痛みに使用
  • 眠気が出ることがある

👉 関節だけでなく、神経の関与が疑われる場合にも使われます。


③ 注射薬(持続型鎮痛)

最近では、抗NGF抗体製剤(リブレラ・ソレンシアなど)といった、長期間の痛み管理に役立つ治療薬も登場しています。

  • 1回の注射で効果が数週間続くタイプ
  • 内服が難しい犬に向いています

※ 症例により適応が限られます。


④ サプリメント

  • 関節の健康維持を目的
  • 一般的に副作用は少なく、日常的に使いやすい

⬇️ 動物病院でも紹介されているサプリメントです。
高齢犬や腎機能が低下している子でも比較的使いやすく、日常的なケアとしておすすめされることが多いものです。
🐱 🐶


大切なポイント☝️

  • 痛み止めは症状や年齢、持病に合わせて選択します
  • 「ずっと同じ薬」ではなく、調整しながら使うことが多いです
  • 痛みを我慢させないことが、筋力低下の予防にもつながります

お家で気をつけたいこと 🏠


室内環境の工夫 🏠

  • フローリングは滑り止めマットを敷く
  • ソファなどはスロープをつける
  • 寝床は立ち上がりやすい高さ・硬さ

⬇️ 筋力が落ちてくると、踏ん張りがききにくくなり、
フローリングなどで滑ってしまうことがあります。
床環境を工夫することで、転倒予防や生活の質の向上につながります。
 🐱 🐶

⬇️ 肉球に貼る滑り止めシールも、筋力が低下した高齢犬にはお勧めです。🐶


体重管理 🍽️

関節に痛みがある子では、無理な運動は控える必要があります。
そのため、体重管理は運動量を増やすのではなく、食事内容や量を調整することが基本になります。

⬇️ 体重管理を考慮したごはんです。🐶🐱
こうした食事を使用する場合でも、食事量をきちんと計測し、定期的に体重を測定することが大切です。

私(獣医)
私(獣医)

痛みを抑えるお薬、生活環境の工夫、適正体重の維持、この3つを組み合わせることが、変形性関節症(OA)のある子の生活の質を守るために大切です。


まとめ 🌼

変形性関節症は、「年のせい」と見過ごされがちですが、犬や猫にとって身近で、痛みをともなう病気です。
初期では気づきにくいことも多く、レントゲン検査だけでは判断できない場合もあります。

しかし、早めに気づき、適切な治療やケアを行うことで、痛みを和らげ、その子らしい生活を続けることができます。
痛みを抑えるお薬、生活環境の工夫、適正体重の維持――この3つを組み合わせることが、変形性関節症のある子の生活の質を守るために大切です。

「最近、動きがゆっくりになった」「歩き方が気になる」など、少しでも変化を感じたら、早めに動物病院へ相談してあげましょう。

※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。

参考文献

日本獣医師会
「犬・猫の関節疾患について」

日本小動物獣医学会(監修)
『小動物臨床のための運動器疾患マニュアル』

Johnston SA, Tobias KM (eds).
Veterinary Surgery: Small Animal. 2nd ed.
Elsevier, 2018.

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執筆者:獣医師 pawmyan(小動物臨床/犬・猫の診療経験15年)

犬・猫の小動物臨床に15年以上携わってきた獣医師です。
診察室でよくある質問や、飼い主さんが不安に感じやすいポイントを中心に、わかりやすく解説しています。

記事内容は一般的な獣医学的情報をもとにしています。診断や治療については、必ず動物病院でご相談ください。

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