急性の下痢犬の急な下痢、様子見でいい?受診の目安と急性大腸炎の一例急性の下痢

下痢

犬が急に下痢をすると、「様子を見て大丈夫?」「すぐ病院へ行くべき?」と不安になりますよね。
特に連休中や夜間など、すぐに動物病院を受診できない場面では、判断に迷う飼い主さんも多いと思います。

この記事では、犬の急な下痢で受診を考える目安や、急性の大腸性の下痢について、
実際に来院したヨークシャーテリアのココちゃんのケースを交えながら、わかりやすく解説します。

この記事でわかること 📝
  • 犬の急性下痢とは何か、慢性下痢との違い
  • 様子見してよい下痢・すぐ受診すべき下痢の見分け方
  • 急な下痢で動物病院を受診したときの検査内容
  • **急性大腸炎の一例(症例)**と実際の治療経過
  • 下痢のときに気をつけたい食事と自宅でのケア
  • 再発を防ぐために飼い主さんができるポイント

症例 🐾

ヨークシャーテリアのココちゃん、13歳

お母さん
お母さん

昨夜から、下痢を繰り返して、明け方まで続いて、寝れなかったです・・・

私(獣医)
私(獣医)

大変でしたね💦

何か、お食事を変えたとか、お出かけしたとか、変わったことはありませんでしたか?

お母さん
お母さん

実は年末に娘家族が帰省しており、ココは子どもたちに追いかけ回されて、大変な思いをしています……。
普段は年寄り二人の穏やかな生活なので、その環境が一変してしまいました。

私(獣医)
私(獣医)

それは・・・ココちゃんにとっては一大事ですね💦

朝ごはんは食べてますか?水分は取れてますか?

お母さん
お母さん

半分くらい食べて、残してました。水は飲んでいるようです。


診察 🐾

私(獣医)
私(獣医)

お腹の触診では、特に痛みはなさそうです。
脱水も認められず、体温・血圧・心拍数はいずれも大きな問題はありません。

ただし、下痢が続いているため、念のため便検査と腹部の超音波検査を行いましょう。


検査 🐾

お母さん
お母さん

うんち💩、持ってきてます。検査よろしくお願いします!

便検査

下痢が続く場合、動物病院では便検査を行うことがよくあります。
便検査は、下痢の原因を探るための基本的な検査です。

私(獣医)
私(獣医)

便検査では、顕微鏡で寄生虫や原虫がいないかを確認することが重要です。

一方で、細菌性やウイルス性の胃腸炎を便検査だけで断定することは難しい場合があります。

⬇️ 便検査について、詳しくはこちらの記事も参考にしてください🐶


超音波検査

下痢の場合、お腹の超音波検査で腸や周囲の臓器を確認します。

  • 腸の動きや壁の厚さ
  • 腸に強い炎症がないか
  • 異物や腫瘍の可能性
  • 膵臓や肝臓など、他の臓器の異常
私(獣医)
私(獣医)

超音波検査は、急性膵炎や胆嚢炎、子宮蓄膿症など、便検査だけでは分からない原因を調べるための検査です。


診断 🐾 急性の大腸炎

【 急性の大腸炎 】

私(獣医)
私(獣医)

ココちゃんは、全身状態に特に問題はありませんでした。
腹部の超音波検査や便検査でも、下痢の直接的な原因となる異常は認められませんでした。

お話を伺う中で、現在のココちゃんの置かれている状況を考えると、
環境の変化によるストレスが関与している可能性も考えられます。

以上のことから、急性の大腸炎と判断し、治療を進めていきましょう。

お母さん
お母さん

ココ、ごめんね💦
でも、大きな病気ではなかったということですよね……よかったです。

私(獣医)
私(獣医)

多くの急性大腸炎は、数日で自然に良くなることが多いため、
原因そのものを治す特別な薬があるわけではありません。

下痢止めや整腸剤、食事内容の調整などで症状を和らげながら、
体が回復するのを待つ治療が中心になります。

ココちゃんは高齢でもあるため、慎重に治療を進めていきましょう。


犬の急な下痢、受診の目安は?🐶

急な下痢で、連休や夜間など、すぐに動物病院へ行けない場合、
すぐに来院すべきかどうか悩むこともあると思います。
そこで、犬が急に下痢をしたときの受診の目安となるポイントをまとめました。


すぐ動物病院を受診したほうがいいケース

次のような場合は、自宅で様子見せず受診してください。

  • 元気がない、ぐったりしている
  • 食欲がない、水もあまり飲まない
  • 繰り返し嘔吐している
  • 血便、黒っぽい便が出ている
  • 異物を食べた可能性がある
  • 子犬・高齢犬の下痢
私(獣医)
私(獣医)

子犬の場合は感染症が原因のことがあり、
高齢犬では膵炎や胆嚢炎、腫瘍など、より注意が必要な病気が隠れていることもあります。

⬇️ 急な嘔吐、下痢で入院が必要だったケースはこちら🐶


様子を見てもよい可能性があるケース

次の条件がすべて当てはまる場合は、
短時間の様子見が可能なこともあります。

  • 元気・食欲がある
  • 繰り返す嘔吐がない
  • 下痢の期間が3日以内で、徐々に回復傾向
  • 明らかな誤食がない
私(獣医)
私(獣医)

元気や食欲があり、脱水の心配がない場合、2、3日以内であれば様子を見ることも可能です。
しかし、下痢が長引く場合は、早めに受診したほうが結果的に回復が早いことも多いため、受診をおすすめします。


こんなときは「様子見」から「受診」へ切り替えて

  • 食欲や元気が落ちてきた
  • 嘔吐があり、水分が取れない
  • 下痢が1週間近く続く
私(獣医)
私(獣医)

慢性下痢(3週間以上続く下痢)に移行する場合は、
炎症性腸炎、食物不耐性、内分泌疾患、腫瘍など、別の病気を疑う必要があります。

元気や食欲があっても、早めの受診をおすすめします。


ココちゃんの治療 🐾

私(獣医)
私(獣医)

今日は、下痢止めの注射💉を行い、ココちゃん高齢なこともあるので、念のため皮下輸液を行います。
整腸剤💊をお渡ししますので、明日から飲ませてください。

お母さん
お母さん

わかりました。お願いします。

ココのご飯は、これからどうしたら良いですか?


下痢の時のご飯について 🍽️


腸を一度休ませてから、少量ずつ再開する

可能であれば、半日ほど絶食するか、食事を再開する場合は半量程度から始めます。
下痢が悪化しないか様子を見ながら、徐々に量を増やしていきましょう。

私(獣医)
私(獣医)

ただし、子犬や高齢犬、痩せている子の場合は無理に絶食を継続せず、早めに動物病院へ相談しましょう。
また、食事を再開して下痢が悪化する場合も、受診をおすすめします。


フードはふやかした方がいい?

市販のドッグフード(特に総合栄養食)は、
犬がそのまま食べて消化できるように設計されています。

私(獣医)
私(獣医)

ドッグフードは、ふやかさなくても基本的には問題なく消化できます。
ただし、水分補給を促せたり、その方が食べやすいなど、メリットがある場合は、ふやかすのも一つの方法です。

お母さん
お母さん

ふやかしが必須、という訳でもないんですね。


下痢のときの食事内容は?

下痢のときは、腸に負担をかけない食事が基本です。

基本の考え方⭕️

  • 消化しやすい
  • 脂肪が少ない
  • 刺激が少ない

⬇️ 下痢のときには、消化にやさしいドッグフードを選ぶことが大切です。🐶
ただし、急性膵炎や腎臓の病気などがある場合は、別の療法食が必要になることがありますので、事前に獣医師へ相談しましょう。

腸内環境を整える療法食(腸内バイオーム)


避けたほうがよいもの❌

  • 脂肪分の多い食事
  • おやつ
  • 人の食べ物

お母さん
お母さん

大きな病気ではなさそうで、注射もしてもらい、一安心です。
お薬を飲ませながら、消化器の療法食も試してみますね。

もうしばらく娘たちの滞在は続きますが、無理をさせないよう気をつけたいと思います💦

私(獣医)
私(獣医)

2〜3日たっても下痢が改善しない場合や、食欲が落ちてくるようなことがあれば、早めに再度ご来院くださいね。


まとめ 🌼

犬の下痢では、元気や食欲があり、脱水の心配がない場合、2〜3日程度であれば様子を見ることも可能です。
一方で、ぐったりしている、嘔吐を繰り返す、食事や水分がとれない、高齢犬や子犬の場合などは、早めの受診をお勧めします。

急性の大腸性の下痢は、ストレスがきっかけになることもありますが、原因がはっきりしないケースも少なくありません。
多くの場合、数日で自然に改善するため、原因そのものを治す特別な薬があるわけではなく、症状を和らげながら回復を待つ治療が中心となります。

今回ご紹介した、ヨークシャーテリアのココちゃんの急性大腸炎の一例が、犬の下痢でお悩みの飼い主さんの参考になれば幸いです。


※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。

参考文献

日本獣医師会 編
「犬・猫の消化器疾患(下痢・嘔吐)」

エディターズノート
『獣医内科学 第2版』消化管疾患の章
(文永堂出版)

Merck Veterinary Manual
Diarrhea in Dogs
(メルク獣医マニュアル/犬の下痢の原因と診断・治療)

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