犬の尿道結石でおしっこが出ない!?シュウ酸カルシウム結石を摘出したマオちゃんの一例

泌尿器

「最近おしっこが出にくそう」「血尿が出た」
そんな症状をきっかけに、動物病院を受診される犬は少なくありません。

今回は、尿道結石を起こし、
シュウ酸カルシウム結石が見つかったマオちゃんの一例をご紹介します。


症例:シーズーのマオちゃん

お父さん
お父さん

尿がキレが悪くポタポタ垂れたり、おしっこの姿勢を何度もしています。

私(獣医)
私(獣医)

わかりました。診察をしてみましょう。


診察 🐾

お腹をやさしく押さえて触診すると、膀胱におしっこが溜まって、緊張しているのがわかりました。

私(獣医)
私(獣医)

膀胱が緊張して硬くなっています。
おしっこが出にくい状態なのかもしれません。

レントゲン検査や超音波検査を行い、
排尿しづらくなっている原因を確認していきましょう。


検査 🐾

超音波検査

腹部超音波検査は、
痛みが少なく、体への負担も少ない方法で、膀胱の状態を確認できます。

超音波検査で分かること

  • 膀胱壁の肥厚
    炎症があると、膀胱の壁が厚く見えることがあります。
  • 膀胱内の沈渣や濁り
    炎症や感染により、尿の中に浮遊物が見られることがあります。
  • 膀胱結石やポリープの有無
    膀胱炎の原因となる異常がないか確認できます。
  • 腫瘍が疑われる所見
    まれですが、膀胱のしこりが見つかることもあります。

私(獣医)
私(獣医)

超音波検査で、マオちゃんの膀胱内に、約2mmほどの細かい結晶が多数確認されました。

結石が尿道に詰まっていないかを確認するため、レントゲン検査を行いましょう。


レントゲン検査

レントゲン検査は、
超音波検査では確認しにくい尿道内の結石を見つけるのに優れています。


私(獣医)
私(獣医)

マオちゃんの尿道に、結石が確認されました。

これが、マオちゃんのおしっこが出にくくなっている原因と考えられます。

お父さん
お父さん

マオは尿道結石があって、おしっこが出にくかったのか!


処置 🐾

私(獣医)
私(獣医)

尿道に詰まっている石を、一度膀胱に戻す処置を行います。
マオちゃんには鎮静剤を使用し、尿道にカテーテルを入れて、
水圧をかけながら尿道内の結石を膀胱内へ押し戻します。

お父さん
お父さん

わかりました!マオ、頑張れよ!!

しばらくして・・・

私(獣医)
私(獣医)

無事に、尿道内の結石を膀胱内へ戻すことができました。
同時に採尿もしたので、尿検査を行います。

尿検査を行うことで、
マオちゃんの結石がどのような成分かを推測することができます。


尿検査

尿路結石がある場合、尿検査はとても重要な検査です。
尿の状態を調べることで、炎症や感染の有無、原因を確認できます。

尿検査で分かること

  • 結晶や結石🪨の種類
    膀胱炎の原因となる結石の手がかりになります。
  • 尿の濃さ(尿比重)やpH
    尿の性状を調べ、結石や再発リスクの評価に役立ちます。
  • 血尿🩸や白血球の有無
    膀胱の炎症があると、尿に血液や白血球が混じることがあります。
  • 細菌🦠の存在
    細菌感染が疑われるかどうかを確認します。

診断 🐾

【 シュウ酸カルシウム結石による、尿道閉塞 】

私(獣医)
私(獣医)

マオちゃんの尿検査では、シュウ酸カルシウムの小さな結晶が確認され、
尿の pHが5.0と酸性に傾いていました

これらの結果から、
尿道結石はシュウ酸カルシウムによって形成されている可能性が高いと考えられます。

お父さん
お父さん

シュウ酸カルシウム??どうしてそんなの、できちゃったんですか??


犬のシュウ酸カルシウム結晶とは?

シュウ酸カルシウム結晶は、犬の尿中に見られる結晶の一つで、
膀胱結石(シュウ酸カルシウム結石)の原因になることがあります。


特徴

  • 尿中で溶けない結晶
  • 尿が酸性(pH5.0〜6.5程度)に傾くとできやすい
私(獣医)
私(獣医)

一度結石になると、食事などで溶解することができません

⬇️ ストルバイト結晶についてはこちらも参考にしてください。 🐶


原因・リスク要因

  • シュウ酸を多く含む食品の摂取
    (ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、さつまいもなど)
  • 水分摂取量の不足(尿が濃い)
  • 高カルシウム尿
  • ホルモン異常(クッシング症候群など)
  • 遺伝的要因(ミニチュア・シュナウザー、シーズー、ヨークシャー・テリアなど)
お父さん
お父さん

マオ、ブロッコリーもサツマイモもも大好きで、
つい、たくさんあげてしまっていました…。💦

私(獣医)
私(獣医)

体質的にできやすい面もあると思いますが、
今後は控えたほうがよいでしょう。


症状

  • 血尿、頻尿など
  • 繰り返す細菌感染(細菌の温床になる)
  • 尿が出にくい(尿道閉塞)
  • 無症状のことも
私(獣医)
私(獣医)

シュウ酸カルシウムによる腎結石や膀胱結石は、
無症状のことも少なくありません。

気づかないうちに数が増えたり、大きくなったりすることもあるため、注意が必要です⚠️


治療・管理のポイント

シュウ酸カルシウム結石の再発予防には、尿pHを6.5〜7.5程度に保つことが推奨されています。

  • 療法食による予防管理
  • 水分摂取量を増やす
  • 定期的な尿検査
  • 結石が大きい場合、尿道に詰まるリスクがある場合は外科的摘出が必要になることも
私(獣医)
私(獣医)

シュウ酸カルシウム結石は、一度できると溶かすことができません❌。
そのため、血尿や頻尿、尿道閉塞を繰り返し、
生活の質(QOL)が低下する場合には、外科的摘出が必要になることがあります。

⬇️ こちらは、シュウ酸カルシウム結晶がある場合に使用される療法食の一例です。
結石を溶かす目的ではなく、
予防や、結晶・結石の数や大きさを増やさないために重要な食事になります。🐶


治療 🐾

私(獣医)
私(獣医)

マオちゃんの膀胱結石は、
今後また尿道へ移動し、おしっこが出にくくなる可能性があります。

さらに、シュウ酸カルシウム結石である可能性が高く、自然に溶けることがない石のため、外科的に摘出することを検討したほうがよいかもしれません。

お父さん
お父さん

また尿道に詰まって、おしっこが出にくくなるのはかわいそうだもんな💦
マオ、手術をして、膀胱の結石を取ってもらおう。


外科手術(膀胱結石摘出)🐾

後日、マオちゃんの膀胱結石摘出の手術が行われました。

私(獣医)
私(獣医)

マオちゃん、本当によく頑張りました。
手術は無事に終わり、膀胱内の結石はすべて摘出されました。

お父さん
お父さん

マオ、本当によく頑張ったな!

(手術、がんばったよ〜🐶💦)

私(獣医)
私(獣医)

現在は尿道カテーテルを留置しています。
今後は数日間入院し、排尿に問題がないことを確認してから退院となります。

また、今後シュウ酸カルシウム結石を再び作らないために
食事管理と、再発予防として3〜6か月ごとの画像検査をお勧めします。

お父さん
お父さん

わかりました!
療法食、続けていきます。
もう、さつまいもはやめておこうね💦


まとめ 🌼

シュウ酸カルシウム結石は、
食事内容や犬種などの影響で、尿の性状が酸性に傾いているときに形成されやすい結石です。
初期には無症状なことも多く、気づかないうちに数が増えたり、大きくなったりすることがあります。

その結果、血尿や頻尿、尿道結石などの症状が出て、
はじめて異変に気づくケースも少なくありません。

そのため、定期的な健康診断と適切な食事管理がとても重要になります。

尿道結石を起こしたシュウ酸カルシウム結石を、
外科的に摘出したマオちゃんの一例が、少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。

参考文献

日本獣医泌尿器学会 編
『犬と猫の下部尿路疾患 診療ガイド』
(日本獣医泌尿器学会)

Osborne CA, Lulich JP, Kruger JM, et al.
Medical dissolution and prevention of canine urolithiasis
Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice

Bartges J, Kirk C.
Nutrition and lower urinary tract disease in dogs
Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice

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