猫が吐くと、
「毛玉かな?」「元気そうだし大丈夫かな?」
と、様子を見ていいのか迷ってしまうことも多いと思います。
実際、猫は比較的よく吐く動物ですが、繰り返す嘔吐の中には注意が必要なケースもあります。
見た目は元気でも、体の中でトラブルが起きていることも少なくありません。
今回は、嘔吐を繰り返して来院したモコちゃんの一例をもとに、
猫の嘔吐で受診を考えたほうがいいサインや、
動物病院での考え方・対応についてご紹介します。
「このくらいで病院に行っていいのかな?」と悩んでいる飼い主さんの、
判断のヒントになれば幸いです。
症例:猫のモコちゃん 🐱
猫のモコちゃん、1歳、男の子です。


モコは元気すぎて。
昨日は、サンタの帽子のてっぺんの、モフモフの部分を齧ってて、危ないと思って戸棚に隠したんですが。
その戸棚を自分で開けて、またモフモフの部分を齧って、もしかしたら半分くらい飲み込んでいます。


モコちゃんのモフモフへの執着がすごいですね💦

そして、夜間に3か所、夜ごはんを吐いた跡がありました。
朝ごはんも食べましたが、また吐いてしまいました。
でも、モコはすごい元気です。
診察 🐱

モコちゃんは、診察台の上でも元気そうな様子でした。
体温測定では発熱は認められません。
お腹を触ってみても、強い緊張や痛みを示す反応はなく、触診上の大きな異常はありませんでした。
また、口の中もきれいで、
よだれが出ていたり、気持ち悪そうにしている様子もありません。
一見すると、体調は安定しているように見える状態です。

ただし、直前にモフモフを飲み込んでいる可能性があること、
そして嘔吐を繰り返しているという点は気になります。

触診や視診では大きな異常がなくても、
胃や腸の中の状態は外からでは分からないこともあります。
そのため、超音波検査を行って詳しく確認してみましょう。
検査 🐱
超音波検査

超音波検査では、胃や腸の中に異物がないか、
また、消化管の動きや壁の厚さに異常がないかを確認します。
毛や布などの異物を飲み込んでいる場合、
レントゲンでは写らないこともありますが、
超音波検査では内容物の状態や腸の動きから異常に気づけることがあります。

モコちゃんの超音波検査では、腸の中に異物が詰まっている様子は確認されませんでした。
腸の動きも保たれており、明らかな閉塞を疑う所見はありません。
ひとまず、飲み込んだ可能性のあるモフモフによる腸閉塞の心配は低そうです。

よかったです・・・💦

猫が何度も吐くけど元気そう…受診すべきサインとは?

猫は毛玉などで吐くこともあり、元気そうに見えることも少なくありません。
ただし、次のサインがある場合は早めの受診がおすすめです。
🚨 受診を考えたほうがいいサイン

- 1日に何度も吐く/数日続けて吐く
- 毛玉ではなく、フードや液体を吐くことが多い
- 吐いたあとに食欲が落ちる、全く食べない
- 体重が減ってきた
- 吐く頻度が以前より明らかに増えた
- ぐったり、元気がない

一見元気でも、若い子だと異物誤飲、高齢な子だと腎臓病・甲状腺機能亢進症・腫瘍などが隠れていることがあります。
🏠 様子見できることが多いケース

- 月に1回程度の毛玉嘔吐
- 吐いたあとも
✔ 食欲
✔ 元気
✔ 排便
が普段通り
この場合は、ブラッシングや食事内容の見直しで改善することもあります。
⬇️ 毛玉を吐いていた猫の記事はこちらも参考にしてください 🐱
🩺 動物病院で行うこと

- 問診(頻度・内容・タイミング)
- 触診
- 必要に応じて
血液検査・尿検査・超音波検査

「元気そうだから大丈夫」と思っていても、検査で初期の病気が見つかることも少なくありません。
🐾 まとめ

👉 **「回数」「続くかどうか」「以前との変化」**が受診の判断ポイント
👉 元気そうでも、吐く回数が増えたら要注意
モコちゃんの治療 🐱


嘔吐が続くと、喉や食道に炎症が起こり、
それが刺激となって、さらに嘔吐しやすい状態になってしまいます。
そこで今回は、
まず嘔吐をしっかり抑える注射💉を行い、
症状が落ち着いてきたら、しばらくの間は整腸剤を続けて飲んで💊ください。
こうして一度、悪循環を断ち切ることが大切です。

わかりました。お薬頑張ろうね、モコ!

猫は、好きなもののためなら、
自分で戸棚を開けたり、袋から中身を取り出したりすることもあり、
実は意外とよくあるお話です💦
「そんなことできないだろう」と思っていても、
思った以上に器用で賢いのが猫です🐱💦
誤飲・誤食を防ぐためにも、
手の届く場所に置かない・戸棚や袋の管理に気をつけるなど、
日頃から少し警戒していきましょうね。

そうなんですね💦もうモコが変なものを飲み込まないように、気をつけます!
まとめ 🌼
何度も嘔吐を繰り返している、元気がない、体重が落ちてきているといった場合は、動物病院を受診すべきサインです。
誤食による消化管閉塞のほか、シニアの猫では腎機能低下や甲状腺機能亢進症などの病気が隠れていることもあります。
また、重大な異常が見つからない場合でも、嘔吐が続くことで喉や食道に炎症が起こり、さらに吐きやすくなってしまうことがあります。
嘔吐が続くときは、早めに動物病院で原因を確認し、適切な対応を行うことが大切です。
今回の、サンタのモフモフをかじって嘔吐を繰り返していたモコちゃんの一例が、みなさまの気づきや受診の判断の参考になれば幸いです。

※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。
参考文献
日本獣医師会
「犬・猫の消化器症状(嘔吐・下痢)について」
Center, S.A.
Feline Gastrointestinal Disease
Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice
PetMD
Chronic Vomiting in Cats
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