「え、今ウェットティッシュ飲み込んだ!?」

そんな突然の出来事に、どう対応すればよいのか迷ってしまう飼い主さんも多いと思います。
この記事では、ウェットティッシュを誤食してしまったチワワの実際のケースをもとに、催吐処置の判断や、吐かなかった場合の対応について解説します。
症例:チワワのたらこちゃん🐶

たらこちゃんはチワワの1歳、女の子です。

たった今、ウェットシートでお尻を拭いていたら、1枚口に咥え、走って逃げて、追いかけたけど飲み込んでしまって、間に合わなかったです・・・


飲み込んだ直後ということですね!すぐに来ていただいてよかったです!
ウェットティッシュを飲み込むと危険な理由⚠️

たらこちゃんのご家族は、ウェットティッシュを飲み込んだら危険だということを知っていたので、動物病院への来院が速やかでした。
① 体の中で「溶けない・分解されない」
多くの市販ウェットティッシュは紙のように見えても、
👉 化学繊維を含む不織布でできており、胃や腸の中でほとんど分解されません。
その結果、
- 腸の中に残り続ける
- 途中で詰まる(腸閉塞)
という重大トラブルにつながります。
② 腸閉塞(ちょうへいそく)を起こしやすい

ウェットティッシュは、
- 水分を吸って 膨らむ
- 腸の中で ひも状・塊状になる
- 腸管に 絡みつくように詰まる
という特徴があり、
👉 開腹手術が必要になるケースも少なくありません。
③ すぐに症状が出ないことがある(これが一番怖い)

誤食後すぐに元気なままでも、
- 数時間〜数日後に
✅ 食欲低下
✅ 繰り返す嘔吐
✅ 便が出ない
✅ 元気消失
といった 腸閉塞の症状が後から出ることが多い のが特徴です。

「様子を見ていたら」繰り返し嘔吐、ぐったり、などというケースもあるので注意が必要です⚠️
④ 成分による「中毒リスク」もある

ウェットティッシュには、
- アルコール
- 塩化ベンザルコニウムなどの消毒成分
- 香料・防腐剤
が含まれているものも多く、
👉 よだれ・嘔吐・口のただれ・胃腸炎・神経症状 などを起こす可能性もあります。

ウェットティッシュを誤食した場合は、成分ラベルを確認しておくと安心です。
ウェットティッシュを飲み込んだときの対応

✅ すぐ動物病院へ連絡・受診
- いつ飲んだか
- 何枚くらいか
- 成分(アルコール入りか)
を伝えると判断が早くなります。

❌ 自宅で無理に吐かせるのは危険です。
❌ 便で自然に出ると自己判断するのはNGです。
検査 🩺

腹部超音波検査

たらこちゃんは朝ごはんを食べたあとだったため、胃の中は食べ物で満たされている状態でした。
小腸については、拡張や詰まりなどの異常はみられませんでした。

おそらくは飲み込んだウェットティッシュは胃のなかにまだありそうですね。
吐かせる処置をして取り出せるか試してみましょう。
催吐処置

今回は静脈注射で吐かせる薬を投与しました。

数分後・・・

ご飯と一緒に、ウェットティッシュ1枚、吐かせることができました!

よかった〜💦気をつけてなくてごめんね、たらこ!!

でも、ウェットティッシュが危険だというご家族の知識と、速やかな来院が、吐かせることに繋げることができました!本当によかったです。

(🐶吐いちゃって、気持ちが悪いよ・・・💦)

今日は皮下輸液をして、これ以上吐かないように吐き気止めの注射をしますね💉。
3、4時間お水も控えてもらって、少量から食事を始めてください。
🐶犬の誤食に対する「催吐(さいと)処置」とは?

催吐処置とは、
👉 誤って食べてしまった異物や毒物を“吐かせて体外に出す処置” のことです。
誤食後すぐで、条件が合えば、中毒や消化管閉塞を防げる重要な初期対応になります。
✅ 催吐処置が「有効なケース」
以下の条件がそろうときに、獣医師の判断で行います。

- 誤食から 数時間以内(胃のなかにある時)
- 意識がはっきりしている
- けいれん・ふらつき・呼吸異常がない
- 食べたものが
・チョコレート
・ネギ類
・薬
・少量の異物 など 「吐かせたほうが安全なもの」
⚠️ 催吐してはいけないケース(重要)
次の場合は 絶対に無理に吐かせません。

- 意識がぼんやりしている
- すでに激しく嘔吐している
- けいれん・呼吸困難がある
- 食べたものが
❌ 針・串・骨など尖った物
❌ 洗剤・漂白剤・灯油などの 強い刺激物
❌ アルカリ・酸性の薬品
👉 無理に吐かせると 食道や肺に重大なダメージ が出ます。
🏥 実際の催吐方法(病院で行う)

動物病院では、催吐を誘発させる薬を使って、安全管理下で実施します。

吐かせる薬は様々ありますが、副反応(好ましくない作用)が起こる可能性もあります。病院では安全に注意して行います。
自宅で吐かせることは危険ですので、絶対に行わないようにしましょう⚠️
✅ 飼い主さんができる正しい対応

1️⃣ 何を・いつ・どれくらい食べたか確認
2️⃣ パッケージがあれば持参
3️⃣ 無理に吐かせず すぐに動物病院へ連絡
⬇️何を食べたら危険か、知っていると気をつけることができますし、素早い対応が可能です。
正しい知識を持つことが、わんちゃんを守る強い力になります💪🐶
✅ 催吐処置まとめ
- 催吐は 「早く・条件が合えば命を救う処置」
- すべての誤食で吐かせていいわけではない
- 自宅での無理な催吐は 重大事故の原因


迷ったら、まずは動物病院に対応可能かお電話ください☎️
催吐処置で「吐かなかったら」どうなる?

✅ 吐かないことは「珍しくない」

催吐処置をしても、
- すでに胃を通過している
- 食べた物が重い・引っかかっている
- 薬が効きにくい体質
などの理由で、一定数は吐かないことがあります。
✅ 吐かなかった場合のその後の対応
状況に応じて、次の対応を行います。
- 点滴・吸着剤(活性炭など)で中毒の進行を抑える。
- 異物が腸に進んだ場合は経過観察。
- 腸閉塞のリスクが高ければ、内視鏡(胃のなかにあれば)、あるいは手術
👉 吐かなかった後の対応は、食べた物の種類が最重要です。

今回はチワワで体が小さい子のため、ウェットティッシュが腸に詰まりやすく、特に注意が必要なケースです。

吐かなかった場合には、全身麻酔をかけて内視鏡で取り出す治療が検討されます。
⚠️ 吐かなかった場合に特に注意が必要なもの

- ウェットティッシュ
- 石・おもちゃ・布・紐
- トウモロコシの芯
- 大量のチョコレート、薬物
→ 腸閉塞や中毒リスクが高く、経過観察では済まないことがあります。
✅ 吐かなかった時、まとめ
- 催吐しても 必ず吐けるわけではない
- 吐かなかった場合は
👉 経過観察・吸着剤・場合によっては内視鏡、手術で対応 - 食べたもの次第で緊急度が大きく変わる
- 吐かなかったときほど 獣医師の判断が重要
まとめ 🌼
ウェットティッシュは、犬が飲み込んでしまうと危険なもののひとつです。
誤って食べてしまった直後であれば、催吐処置によって吐き出せる可能性があります。そのため、気づいた時点ですぐに動物病院へ連絡し、対応が可能かどうかを確認することをおすすめします。
また、「何を飲み込んだら危険なのか」を日頃から知っておくこともとても大切です。
「大丈夫かな…」と少しでも不安に感じたときは、自己判断せず、まずは動物病院へ連絡して指示を仰ぎましょう。

今回ご紹介した、ウェットティッシュを誤食したものの、催吐処置で無事に取り出すことができたチワワのたらこちゃんの症例が、少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

※本記事は、獣医師としての臨床現場での経験に基づいてまとめています。
個々の動物によって症状は異なりますので、気になる場合は動物病院での診察をおすすめします。
参考文献
- 農林水産省:「ペットの誤飲・誤食事故に注意!」
- Merck Veterinary Manual:“Gastrointestinal Foreign Bodies in Small Animals”
- Peterson, M.E., Talcott, P.A.:“Small Animal Toxicology”


コメントやご相談もお待ちしています。


コメント