今日は、トイプードルのモモちゃんが再診にきてくれました。
ももちゃんは、9月に20歳を迎えました!
立派な超、高齢犬です。

〜 ももちゃんの診察の経過 〜
若い時には、
分離不安があって、精神安定剤を使っていたこともありました。
7歳ごろ。
膿皮傷、という細菌の感染による皮膚炎を
繰り返して、消毒や飲み薬、シャンプーで
治療、頑張ってました。
10歳ごろ。
超音波検査で脾臓に1cmくらいの
小さい出来物が見つかりました。
大きくならないか定期的に超音波をして確認し、大丈夫だったので、様子を見ることになりました。

心臓に雑音が確認され、軽度の僧帽弁閉鎖不全症が見つかりました。
その後定期的に確認して、薬を飲んで治療する必要がないくらいで経過しました。
16歳ごろ。
右眼が緑内障になって、視力がなくなってしまいました。
高眼圧が治らず、眼が痛いのを抑えるために、
眼圧を下げるための処置をしました。
18歳ごろ。
初めての痙攣発作がありました。
高齢なので、MRI検査はしませんでした。
その後、何回かけいれんが繰り返され、抗けいれん薬を飲むことになりました。
けいれん発作の主な原因は、
年齢別で違ってきます。
子犬(〜1歳未満):
低血糖、水頭症など
〜5歳くらいまで:
特発性てんかん、脳炎など
シニア(7歳くらい以降〜):
脳腫瘍、脳梗塞など
確定診断は、MRI検査で行われます。
一般的な街の動物病院にはない設備なので、MRI検査を受けるには、大きい動物病院や検査センターを紹介します。
全身麻酔が必要になります。
ももちゃんは高齢なので、ご家族はMRI検査は希望されませんでした。
抗けいれん薬を1日2回飲んで、けいれんはほとんど起こらなくなりました。
19歳になると、
筋力が衰えて、立てなくなりました。
寝たきりになって、肩や腰のあたりの皮膚が擦れて、床ずれができるようになりました。
傷を消毒し、敷物を工夫したり、定期的に寝返りをさせたり。
認知機能も低下して、夜鳴きをするように
なりました。
そうすると、困るのはご家族で・・・
効き目は弱めですが、精神安定剤を使ってみることにしました。
やっぱり夜に鳴きだすことはあるけど、マシにはなりました。とご家族。

高齢なわんちゃんでは、
認知機能の低下、いわゆる認知症は、よくみられます。
夜鳴きを始め、
ぐるぐる部屋中を歩き回る、
狭いところに入って出られない。
など。
対策は様々ですが、
動物病院では、投薬治療も提案させていただきます。
安全に使えるサプリや、
副作用の少ない精神安定剤。
もうすこし強めの眠り薬は、
高齢な子だと効き過ぎて、
眠りすぎてしまう可能性があります。
しかし、鳴き声が大きすぎたり、
近所迷惑が心配で、など、
ご家族の体力、心労がかなり深刻なこともあり・・・
ご家族の状況と、わんちゃんの体調を加味し、慎重に処方します。
20歳になりました。
とても痩せてしまったものの、
元気な姿を見せてくれた、ももちゃん。
緑内障の処置後に、落ち窪んだ右眼には、
目ヤニもなく、
口周りも綺麗で、床ずれもよくなっている。
ご家族の努力には、本当に頭がさがる思いです。
ももちゃんのご家族のお母さん。
食欲だけは、ばっちりです!と誇らしげです。

けして、神経質な方ではなく、おおらかで、
ただ、ももちゃんが痛い、
苦しいのはとってあげたい。
という優しい気持ちで、
大切に、丁寧に、ももちゃんのお世話してくれたのです。
お母さんの努力があって、この日を迎えることができたと、本当に思います。
〜 まとめ 〜
高齢なわんちゃんとの生活は、けっして楽なものではないと思います。
けれど、そこにいてくれることで、心が暖かくなる。かけがえのない日々。
痛くなく、苦しくなく。穏やかに過ごせるように・・・
そんな気持ちの応援ができるよう、私も力になりたいと思っています。

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